八月十八日

・行動

 結局、夜中の三時までカタンをやっていた。久々にやると面白い。しかし三戦やって全敗である。腕が鈍っている。

 この日は段ボールを床に敷いて寝た。保温性もクッション性も申し分なく、睡眠に適してはいるのだが、絵面がどうしようもなく貧相である。路上で寝てる人っぽいと言われた。全くその通りだと思う。案外向いているかもしれない。

 

 九時に起きたり寝たり、PC開いてMtGやったりしつつぐだぐだしていると、時刻は十一時を回っていた。油そばの店で昼食とする。東京に本店がある店だが、仙台が初となる。美味しかった。

 

 

 少し歩いてコミュニティバスに乗り、瑞鳳殿へ向かった。日曜午後とあって激混みである。古風な外観や、アナウンスの存在を鑑みるとやはり観光向けらしい。混むのも当然である。

 

 

 瑞鳳殿には伊達家代々の当主が祀られている。戦火で一度焼けたが、昭和に再建、最近また修復工事とあって、創建当時の極彩色を取り戻している。和風開き戸の自動ドアなど妙にハイテックな装いが印象に残る。

 修復工事の時に出た発掘物が資料館に展示されていた。遺骨や遺髪からDNA検査で顔や家系を割り出す、という試みがなされていて興味深い。副葬品も色々置いてあった。三代目の方は早くに隠居して芸術生活を送っていたせいか、嗜好品や身の回りのものが数多く残っている。眼鏡もあった。老眼だろうか。

 

 瑞鳳寺に寄りつつ社領を出る。仙台城に行こうかとも話したが、時間と暑さを鑑みて止めることにした。道中コンビニにより、サクレレモンを食す。レモンをどかすまでに時間がかかる。その後家に戻り、仙台育英を応援しながら涼んだ。試合結果は残念。

 ついでに未開封の宮城経を開ける。非常に香り豊かである。普段は何でもストレートで飲んでいるが、これはロックの方が美味しい気がする。

 十六時を回ったところで、荷物を整理して友人宅から失礼する。夕飯を食べて駅へ向かい、家へ戻る友人及び東京へ戻る友人と別れた。

 

 

 本来ならこの後適当にふらついて夜行で帰る予定だった。しかし前日夜、夜行バスの予約を取ろうとした時、素敵な旅程を思いついたのでそちらに変更する。

 まずは今日の宿たる気仙沼へ向かう。東北本線で北上した後、気仙沼線で柳津へ向かい、そこからBRTに乗り換えた。気仙沼線ディーゼル車一両で、バスのような個別冷房が印象に残っている。

 涌谷駅を過ぎた辺りから常に一人であった。柳津駅でビデオを撮っていた少年と会って以来、運転手さんと二人きりである。ほとんど空気を輸送しているような状態なのに、わざわざアナウンスをして頂いて申し訳なさがある。乗車時に幅を見誤って(まだ治っていない)足首をくじく、発車直後に荷物を派手に落として止めてしまうなど、こういう時に限ってドジが目立つ。

 南三陸町に出るまでは専用道を通っていく。もともと線路のあったところであるらしい。バス停も駅の位置に準拠している。駅メモの駅情報など見ていると、ホームが撤去されていく様子が克明にレポートされていた。今はもう面影もない。

 途中何度かトンネルを通ったが、全ての内壁に保護シートのような物が張られていた。あれは何の役割を持っていたんだろう。

 専用道とはいえ標識や信号はあった。道の膨らんでいる所にあった辺り、信号はすれ違い用に用意されているらしい。近づくと青になる仕組みのものは初めて見た。また、遮断機の無い第四種踏切(?)もちょくちょく見られた。踏切には無いが、一般道と専用道の境にだけ遮断機が設置されている。

 初めの遮断機を越えると普通の市街地であった。しかしながらしょっぱなの交差点で派手に事故っており、ルート変更となる。ある意味レアかも。起きてすぐのことだったらしく、次の南三陸病院で他のバスへの注意喚起(アナログ)が行われていた。そこはガッツリ訛っていた。アナウンスの綺麗な標準語とのギャップにプロ意識を感じる。

 

 次に専用道に乗るまでの間、バスは市役所や病院など南三陸市街を巡っていた。町には新しい建物が並び、市役所も綺麗になっていた。町は機能しているように見え、嬉しかった。しかし、古い建物や田畑がほとんどない景色は、被害当時を偲ばせるには十分なもので、考えざるを得ない。田畑があるような区画が軒並み原っぱになっている様子を見ると、消えないものなのだろうけど、それでもマンションが建つほど人が住んでいることに力強さを感じる。

 

 ややあって専用道に戻る。リアス式らしく海に近付いたり離れたりしながら進んだ。時間が時間なので明かりしか見えないが。途中、「津波浸水区間 ここから」「ここまで」という標識が何度もあった。次があっても被害は出さないという強い意識を感じさせる。

 二人のまま二時間ほど進み、気仙沼市街に入った辺りでようやく人が乗ってくる。少し進んで宿の最寄りで下車。目的地までの道はガッツリ住宅街であり、とてもネカフェがあるとは思えなかったが、角にポツンとあって驚いた。次の日の計画を練りつつ就寝。

 

・食事

 昼は油そば

 夜は牛タン。テールスープが美味。牛タンは勿論美味しい。