十月九日

行動

 昨夜から今日は遊ぶ日と決めていたのでそうした。

 まずは八時くらいに起きて上野に向かうつもりだったが、二度寝を繰り返して昼になってしまった。適当に昼を食べてから出かける。

 元々は初美術館チャレンジを行うつもりであった。しかし微妙な時間になってしまったし、丁度企画展の狭間であったので止める。代わりに新宿へ向かい、映画を観ることとした。

 上映まで寝過ごしたり海獣の子供(4)を買ったりして時間を潰しつつ、ピカデリーに向かう。まずはHELLO WORLDを観た。京都であった。パンフレットを買った。

 この時点では次の予定が遠く、3時間後であった。HUBに入って酒を飲みつつ時間を潰した。丁度ラグビースコットランド・ロシア戦をやっていて、観戦しながらMtGAをした。店内には外国の方も多く、皆さんビールを飲みながら試合に一喜一憂している。とはいえ内容はえげつないくらいにスコットランドの圧勝で、常に喜んでいるような様子で平坦だった。それでもトライが近づいた時には盛り上がっていた。

 上映が近づいた頃に店を出て夕飯を食べ、シネマートに向かう。入場口近くがpillows関連の展示でにぎわっていた。着席後、エログロ宗教の混ざった予告編を過ぎ、本編の王様になれを観た。カッコよかった。

 その後はぬるりと帰宅。

 

映画

HELLO WORLD

 野崎まどの小説を原作にした(同時進行かも)SF青春映画。

 予告編は去年の秋頃から出ていて、その京都ぶりにずっと期待していた。初夏に出た小説版を一足先に読んで内容も把握済み。後はいかに京都が描かれるか、その一点を気にしていた。以下ネタバレ。

 結論から言うと、映像は素晴らしく京都であった。

 背景に描かれる京都の風景が美しくて良い。洛中の、地方都市然としていながら妙に区画がキッチリした造りは現実的で親近感がある。青春パートが特に顕著で、鴨川のデートシーンは綺麗なホルモー然として爽やかであった。あんなに花が咲いている所は見たことは無いが。

 印象的なシーンでも京都であることが活用されている。宇治川の戦闘も、京都タワー突き刺しも、京都駅大階段も、モチーフが鮮烈に用いられている。個人的には逃走中にやった区画スライド芸が好き。

 本からの話だが、ストーリーは好みである。取り巻く状況はややこしいが、感情の動きや展開はシンプルであり、スッキリ観られる。映像で説明など間に合うのかと思っていたが、ほとんど過不足なく描かれていて良かった。回想は必要以上に多い気が。

 若さで片付けるにはナオミと直実の人格が乖離しすぎている気もするが、修行だったりで成長したのだろう。演技は特に一行さんが見事。芯の強さが表れている。

 

 また、映像化によってより分かりやすくなった要素も多い。特に髭博士は具体的な見た目や声が補完された。原作時点で、後半のカラスの中身は彼だと思っていたので、修正できたのは助かった。最後のシーンもやっと理解。一行さんは更にかわいい。

 ただ、先日友人とも話したことだが、SF要素にはやや綻びが見られる。まず、データ処理に狐アバターが出てくる理由がよく分からない。わざわざ狐を経由せずに直接対象データを修復すればいいのではないか。映像になるとより迂遠な手段を取っている印象が強まる。また、修復の閾値もよく分からない。古本市成功により、購入者の情報は相当に変化しているのではないだろうか。

 やや雑な印象は拭えないが、青春ものとしても見られるし、ややこしい舞台設定をよく落とし込んだ作品だと思う。また読み返したい。

 

『王様になれ』

 The pillows30周年記念作品。山中さわおがバンバン出てくる。

 刺さる場面が多くて整理しきれず、迂闊なことが書けない。以下ネタバレ。

 多く歌われているように、全般的に現実の壁に押し潰されそうなシーンが描かれる。主人公は不器用を通り越して社会不適合に踏み入っているような男である。見ていて胃に来る場面が多い。ハイブリッドレインボウが使われる場面は死ぬほど残酷で、しかし的確であった。『昨日まで選ばれなかった僕らでも明日を待ってる』が重い。

 それでも芯は通っており、最後まで前に進む意志を持っていた。それが彼の強さであり、歌によって得られたものなのだろうか。

 バンドのカメラマンを選んだのも秀逸だなあと思う。後輩として演奏する側ではなく、聴く側に立った物語であった。

 「病弱な恋人と夢に向かって頑張る俺」と書けば一見陳腐な物語であるように見えるが、痛々しいまでの現実の描写と、歌の存在が物語に相当な実在感を与えている。最後のライブシーンでちょっと泣いてしまった。

 自分は常にキョロキョロしながら生きてきたので、多分あちら側には行けないのだろう。ギターやカメラに値するものをいつか見つけられると信じたい。

食事

朝はパンとバナナ。

昼はそうめん。

夜は風龍のとんこつラーメン。