2020/11/08

労働

 朝からバイト。

 人員欠乏+イレギュラー作業多発というコンボを食らう。大変だった。

 後半になるほど楽になるのは変わらず。イベント前に比べればケツに火がついていないのは有難い限りで、割と足並み揃っているのでこちらもやりやすい。午前中は人が少なかった所が救いかもしれない。ただ予告なし残業は勘弁してほしい。

 何とかして夕食、初めてピータンを食べた。結晶化した見た目の割に普通の卵味で拍子抜けした。黄身部分は卵の酸化して黒くなってる部分みたいな味がする。美味しい。

2019冬磐越・一日目

18きっぷ旅行というジャンルがある。

これは通常の旅行とは似て非なるものである。時間の8割は鈍行に揺られ、僅かな乗り継ぎで土地を歩き、朝から晩までケツを痛める。安く上がるのは事実だが、夜行バスがある時代に金銭面での優位性は薄い。東京~松本程度の中距離で活用するならまだしも、長距離の移動となると苦行の域に入る。余程の鉄道好きか、位置ゲー等の目的付きでないと、実の無い不毛な移動となるだろう。

しかし、時々無性に行きたくなるのもまた事実である。

12月某日、気がついたら金券屋で3日分を買っていた。買ったからには、行かねばならない。

 

4:46~8:35  東京~上野~水戸~いわき

 今回は東京駅の始発から向かう。駅近くのコンビニでお茶とつまみを買い込み、いざ乗車。山手線で上野に向かった後は、ひたすら常磐線で北上する。

 いくら平日の東京といえども、夜明け前では人もまばらである。新宿を経由する中央線に比べ、夜を越したであろう人もあまり見ない。外も暗く見るものはない。卯酉東海道を聞きながら居眠りで時間を潰す。

 冬至も近く、日の出は遅い。千葉を越え、茨城に入ろうかという頃になって日が昇ってきた。田園風景と町並みが交互に現れる。いくらか進んで7時になると水戸到着。流石にこの時間、しかも県庁所在地とあっては乗客も多い。学生服やスーツに混ざりながらのリュック運搬は少し申し訳なさを感じる。肩身を狭くしながら乗り換え、いわき行の車両に乗り込んだ。

 東京でなくとも平日の朝、すぐ座れるほど甘くはない。車内は学生でごった返していた。すわ立ちっぱなしか、と思ったが十王駅で多く降車、何とか座れた。近くに高校があるらしい。未だ高校生は多く、バンドリとバジリスクの話をしていたり、落としたスマホを拾う/拾わないで青春めいたやり取りをしていたりした。羨ましい。時々対面の車両を見ると結構な混雑で、やはり上り方向の方が混むものなのだろう。朝から郊外に通うのは学生くらいなんだろうか。

 しばらく進むと太平洋が見えてきた。ようやく旅情が顔を出す。途中で勿来駅を通った。確定はされていないが勿来の関があった土地らしい。確かに山の間に細い道が通るような土地で、関には向いているような気がしなくもない。車窓からの眺めは素晴らしく、線路沿いには温泉もあるらしい。日の出の時など最高の湯浴みになるだろう。来てみたい。

 常磐線沿いで温泉といえばいわきは外せない。近づくにつれ、明らかに観光地めいた車窓に変わってくる。なにせ駅名が湯本である。クソデカボーリングマシンが聳え立つ石炭化石館も気になる限り。共同温泉も多いと調べれば調べる程好みの要素が見つかり、下車する頃には途中下車でもしてしまおうかと考えていた。しかしここは予定を優先、乗り換えへ向かう。次の東北行きではここに寄る。

 

8:41~11:19  いわき~郡山~猪苗代

 いわきからは西へ向かう。本来ならば郡山に直接向かった方が早いのだが、磐越東線が気になっており、このルートを選択。

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 さっきまで海沿いだったが、数駅進むと山間に入る。隣には夏井川が流れており、その向こうに集落、という風景が緩やかに続く。枝が車窓に当たっているのか、パキパキという音が時折聴こえてきた。

 積雪もちらほら見えており、しばらくすれば白く覆われた田畑が目に入ってくる。

 

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 運よく晴れ、雪原・枯れ木・青空のコントラストが美しい。見ながら朝食を頂く。この日もタカセのカジノを持ち込んだ。遠出のお供である。

 

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Googleストリートビューより引用

 道中気になったのが夏井駅前の大釜である。後で調べた所、近くの諏訪神社由来のものであるらしい、ということが分かった。しかし細かい縁起は分からない。果たして解明できる日は来るのだろうか...

 

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 もう一つ気になったのが、菅谷付近で遠くに見られた段々山(画像中央)である。このような山といえば秩父武甲山が思い出される。あれは採掘でそうなったはず、それではここもと考えて航空写真を見た所、真っ白なエリアが見つかる。やはり石灰岩の採掘がおこなわれているらしい(ここの大滝根工場)。大越駅のすぐそばにも工場があり、しかもあの片倉財閥ゆかりの企業ということがわかり、しばらく興奮した。

 近くにはあぶくま洞もあるし、そのような地質が広がっているのかもしれない。冬だと周囲に紛れるが、夏にも真っ白となるとさぞかし目立つことだろう。

 大越の辺りではもう市街地が広がっていた。進むにつれて高度も下がり、郡山市街に入るころには雪も消えている。駅到着後は20分ほど待機。やってきた磐越東線の快速に乗り込み、さらに西へ向かう。

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 このルートは中学時代に来たことがあった。磐梯熱海の銭湯に入り、郡山でラーメンを食べ、いざ帰ろうとなってはぐれたのが懐かしい。しかし今回は下りず、猪苗代湖の方へ。

 磐越東線猪苗代湖の東端から入り、北をぐるっと回って会津方面へ向かうルートを取る。一番湖に近づくのは東側の猪苗代湖畔駅であり、そこから後はいったん離れる。しかしそれを知ったのは乗車後であった。猪苗代湖湖畔は快速通過駅、遠ざかる湖をただ眺めることしか出来なかった。

 

11:19~12:29  猪苗代湖会津若松観光

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 離れたといっても猪苗代駅、湖までは徒歩30分ほどの距離である。次の電車は1時間後。半ばヤケクソになりながら突撃を敢行した。

 

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雪国名物

 天気は不安定ながら小雨程度。足元は不安だが、重荷を背負ってダッシュする。駅前の住宅街を抜け、国道脇を急いで南下した。山間部に比べれば少ないとはいえ路肩には積雪が見られ、紅白のスノーポールも置かれていた。国道沿いにしては寂しい風景を抜けていくと、また別の国道に突き当たる。渡った後に田んぼを抜け、湖に到達。

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 とにかくデカい。第一印象はそれで埋め尽くされた。自分の中で湖といえば諏訪湖で、それを遥かに超えるスケールには圧倒される。デカさと反比例するかのように湖面は静かで、背後も田畑が広がっているため音はない。見るもの全てが淡色な中、否が応にも落ち着かされた。

 

 

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 晴れや収穫前であればまた違った印象を受けたのかもしれないが、冬の曇りとあってはただただ寂しいばかりである。しかし重苦しさはなく、がらんと吹き抜けるような場所だった。

 

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 北側を見れば会津の山々がある。10分ほど余裕があったので歩き回っていたが、ただただ湖と葦原と田畑が続くばかりである。断続的な雨により地面もかなりぬかるんでおり、湖面には一部濁流が流れ込んでいた。悦に浸って歩いていたらうっかりぬかるみを踏み抜き、靴が悲惨なことに。

 

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調理の一環?

 帰りは行きと同じ道を歩く。毎度ながら時間はギリギリ、走って構内に入ると丁度アナウンスが流れていた。急いで跨線橋を渡り、来た電車に乗り込む。

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野口英世も頑張っています



13:00~14:29 会津若松観光

 会津若松に来るのは二度目である。この日は前回逃した酒蔵・ソースカツ丼に絞って巡ることとした。まずは酒蔵へ。

 

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 15分ほど歩き、末廣酒造の嘉永蔵に到着。蔵の見学を行うつもりだったが、内部見学は正時にのみ行われるようで入れず。仕方ないのでお土産コーナーでお酒を漁った。試飲が豊富でありがたい。美味しい酒は量が多く、この後持って回れる気がしなかったため断念。小瓶で売ってるやつを購入。

 一応入口の所は見て回れたが、建物が古い・水が綺麗ということくらいしか覚えていない。既に酒が回っていたかもしれない。

 次はソースカツ丼へ。駅に向かって北上する。城下の町人地らしい区割りで、路地が入り組んだ町並みである。七日町周辺は蔵も多い。駅に近づくにつれそのような城下時代の街並みは薄れるが、地方都市にしては古めの町並みであった。

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大々的な晒し

 個人商店の多さも印象に残っている。内地ど真ん中に釣具店があったことも気になる所。投網・刺網とかなり大規模なものの扱いも書かれていたが、湖で使うのだろうか。シャッターが閉まっていたので分からずじまい。

 駅前は流石に賑わっているし、パチンコ屋もある。二郎も気になる所だが生憎定休日。名物のソースカツ丼を出す店はいくつかあるが、ここは駅前のマルモ食堂へ。

 

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 駅前すぐという立地ながら、一時代前の香りを色濃く残す食堂。長机にビニール椅子の並びには既視感がある。当然ながらソースカツ丼を注文。意外としつこくないソースとサクサクの衣で軽く食べられる。ついてきたみそ汁は激熱だったが、東北らしい赤だしで美味しかった。

 食後は駅へ。今度は磐越西線に乗り込む。

 

14:33~18:53 会津若松~新津

 少しの平野と喜多方を過ぎた後、列車は再び山間に入る。前回の紅葉時に比べればいささか地味だが、車窓からは相変わらず阿賀野川の渓谷美を眺められる。山間ながら東線と比べて積雪は少なく、山肌が露になっていた。

 

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特徴的な朱色屋根、只見線の方でも見かけた気がする

 しかし、景色を楽しむ間もなく寝てしまった。起きるころにはほぼ日没、仕方ないので本を読む。すっかり日も暮れた頃に新津駅到着。

 新津駅は磐越西線信越本線羽越本線の集合地点に位置し、乗換駅として名高い。今回も乗換を行う予定だったが、主目的は別にある。新津温泉だ。

 新津は古くから交通の要衝として発展してきたが、かつては国内有数の産出量を誇る油田地帯としても知られていた。このような土地は日本海側に点在するが、平成に入っても採掘が続いていた点が特徴的である。今も採掘施設や博物館が残っているらしい。

 石油が湧くなら当然温泉も湧く。油田としての採掘を終えて20年が経った今でも、温泉は相変わらず湧いている。しかも相当に特徴的なお湯であると聞き、今回訪問に至った次第である。

 新津温泉は駅から徒歩13分ほどの場所にある。距離はそれほどでもないが、入り組んだ住宅街の内部に位置し、やや訪問に迷った。駅前の通りから小川の方まで進んで曲がり、川に沿って歩き、駐車場を突っ切ると見えてくる。

 

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昼に来るべきだった

 見た目は完全に公民館である。看板が無ければ入るのも躊躇われる。しかし駐車場には何台か停まっており、人気の程を窺わせる。入って受付(?)にいた方々に声を掛け、料金を支払って入浴へ。長い廊下を二、三度曲がると浴室入口が見えてくる。浴室近くには勝手口と三和土があり、地元の方はこちらから来られているのかもしれない。

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実家のような安心感

 脱衣室は意外と広い。ここまで来ると匂ってくる。さっさと着替えて入浴。

 浴室は至ってシンプルな造りで、引き戸を越えてすぐに楕円形の浴槽があり、左脇に洗い場がある。お湯の見た目は心無しか黄色がかった透明、純朴な浴場である。しかし見た目より遥かに強く印象に残るのが、その強烈なアブラ臭である。

 アブラ臭ファンの聖地として、温泉好きには名高いらしい。もはや入浴前から香り高いが、戸を開けると一気に濃密な匂いが流れ込んでくる。目を閉じればそこはガソリンスタンド。銭湯らしからぬ非日常的な感覚を味わえた。浸かってみるとお湯も中々良質で、程よくトロトロの肌触りが心地よく。匂いほど強烈なアブラ感はなく、気持ちよく浸かれた。しかし泉質は食塩泉、温まりは強く、上がった後も持続した。入浴中は常時2~3名の方がおられ、会話に花を咲かせていた。

 30分ほど浸かって退出。服を着てもなお体中がガソリンスタンド。この状況は翌朝まで続き、温泉を思い起こさせてくれた。来た道を戻って駅へ、酒を飲みつつ30分ほど待って新発田方面への電車に乗る。

 

18:54~20:17 新津~新発田~新潟

 最終目的地は新潟だったが、駅メモの為に遠回り。途中月岡温泉の最寄り駅を通り、後ろ髪を引かれる思いで通過。新発田白新線に乗り換え、新潟へ向かう。

 新潟に着いたのは20時頃。イタリアンに興味はあったが、流石にこの時間に提供している店は無い。それならば居酒屋で日本海の幸をと画策し、実際に調べていたのだが、ここで貧乏性とチキンが発動してくる。安くて良さそうと見た店は賑わっていて足が遠のき、静かな所は予算が高くつきそうで足が遠のき、20分ほど未練がましくうろついた末、コンビニでカップ麺を買って食べた。我ながらどうしようもない。度胸を身に付けなければならない。

 この日の宿はネカフェ予定、あまり早く着いても困るので適当にうろつく。いっそフェリー乗り場まで行ったろかと思うがそこまでの気力もなく、しばらくしてから駅に戻った。

 

21:04~21:34 新潟~寺尾

 寺尾駅から五分という、郊外にしては便利な位置に快活があった。有難く利用。折角早く着いたので翌日の予定を練る。練っているうちに、翌朝の目的地で良い感じの安宿を見つけ、やや落ち込む。相変わらずアブラ臭を残したまま就寝。

2020/11/06

行動

 8時半起床。連絡だけして二度寝、11時に起きて飯を食う。体が冷凍パスタで出来ている。

 昼食後はMTG。つつがなく終わる。

 バイトまでは旅行の記録を纏めていた。我ながらメモが断片的すぎて困る。昼寝を挟みつつ書き、時間になったので出勤。

 

労働

 1週間休みを挟んだだけで随分しんどくなる。

 内容は概ねスムーズに行ったので良し。翌日はまた人減り運用ということを知らされて萎え。イレギュラーな対応が多い時期であり、気が持つか分からない。

2019秋京都・五日目

西陣・朝

 案の定というか、深酒が祟って寝坊。確かに目覚ましはかけたはずだが、菓子類の袋も開けっぱなしということはおそらく寝落ち。夢だったのかもしれない。7時半起床と、昨日よりはマシな時間ではある。

 身支度を済ませた後は階下で無料トーストを頂く。宿泊者同士のコミュニケーションを狙ったものと思われ、実際欧米の方もおられたが、国際交流の難易度には勝てず。無言で食し、トイレを済ませて出発した。トイレ(写真右)まで趣があるのは凄い所。

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町家改装の風情ある宿

 バス停まで少し距離があるので、西陣の街を散策しながら進む。昨夜は見えなかったが、伝統に満ちた町並みである。右も左も茶色の町家、歴史的な碑が事なさげにスポーン、一定間隔でお地蔵様登場と上京区らしい風格。しかしながらごく一般的な一軒家もあるし、掲示板もある。東山辺りに比べると生活感が強い。狭いガレージに芸術的な収まり方をしていたり、瓦屋根の一部だけトタンにして室外機を置いたりと、古い家と上手い事共存しているのが良かった。見ている分には気楽だが、築百年超木造住宅のメンテなど想像するだけでもしんどい。

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 うろちょろしていると大通りに出た。ここからバスに乗って西へ。

 

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良いロゴ

 

嵐山・中心部

 一昨日は東、昨日は北と京都の外縁を攻めてきた。そうなれば今日は西である。

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 洛中から遠いとは言え天下の嵐山、九時にはもう人で溢れていた。幸いなことに渡月橋はまだ埋まっておらず、先に渡ってしまうこととした。

 

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 阪急からくる人に逆行し、初めに向かったのは法輪寺である。入口は分かりづらいが、脇道を抜けると長い階段が見えてくる。登りつつ、途中で脇の摂社に寄る。

 

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錚々たる顔ぶれ

 十三まいりで有名な御寺、ということは後から知った。我々にとって重要なのは電電宮の存在だろう。元は神仏習合の頃に建立された鎮守社で、当然電気など関係はなかったのだが、星にまつわる『電電明神』が祀られていたことから今の信仰を得るに至る。参拝して研究の無事を祈り、芳名板を見てラインナップに驚いた。

 

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狛牛・狛虎

 その後は階段を上まで登り、法輪寺へ参拝。求聞持法で有名な虚空蔵菩薩が御本尊であり、こちらでも研究の無事と平穏を祈る。その後社務所を見たりした。ここの展望台は眺めが良いのだが、残念ながら工事中。墓地の脇の細道を抜け、渡月橋へ戻る。

 

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 支流を渡って渡月橋へ、としたところで鳥居が見えた。気になるので参拝。

 

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 櫟谷宗像神社。松尾大社末社である小さな神社だが、その歴史は古く、社殿は平安以前に遡るという。桂川を見下ろす位置にあり、水に関連する神様が祀られていることから、その辺りの信仰があったのではないか、とのこと。実際に渡月橋や対岸がよく見える。

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境内から渡月橋を望む

 参拝後、ベンチで少し休憩してから渡月橋に戻り、嵐山のメインストリートへ。この通りは流石の超混雑。その中でも突撃する人力車、プロの技が光る。

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風刺か?

 

 天龍寺の境内に入った所で大雨に降られ、急いで拝観受付へ。まずは庭園。折角なので普段は行かない方丈も拝観することとした。

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 相変わらず綺麗な庭で、紅葉の頃なのだから更に絵になる。山には雲がかかり、十二分に借景の役割を果たしていた。

 

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 大方丈はザ・方丈といった形の平たく広い建物で、敷き詰められた畳が何とも気持ちよさそうであった。入れるのは広縁だけだったが。雨を聞きつつ渡り廊下で小方丈へ向かい、参拝して庭に出る。雨上がりの功績というべきか、葉も花もつややかで綺麗だった。

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 しばらく散策した後に入口へ戻る。御朱印を頂いた後、法堂へ向かった。天井の龍が凄い、というのは聞いていたのでそれ目当ての参拝だったが、堂内が広い上に仏壇が滅茶苦茶豪華でそちらに目を引かれた。天井が高いので余計広く感じる。龍も想像以上の規模で、細部を眺めていると首が痛くなる。

 

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 境内を出た後、北方向に向かって歩く。天龍寺を過ぎればメイン通りは多少人が減ったが、竹林の道に入って再び急増。見渡す限り人だらけだが、上を見れば竹しか見えない。都合よく雨もやみ、竹漏れ日がよく射していた。

 

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 竹林を抜け、野宮神社へお参り。源氏物語にも登場した由緒正しい神社である。伊勢の斎王が身を清めた場所ということで、その縁もあるのか、今はえんむすびの神様としての信仰が厚い。独り身二人にとってはやや肩身が狭い。

 参拝後は再び南下、嵐山公園に向かった。ここは去年来た時にもいい紅葉が見られた場所で、紹介のために向かった。

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 今年は少し早かったが、相変わらず雄大な渓谷を拝めた。幸運なことにトロッコ列車にも遭遇。

 しばらく眺めてから坂を下る。公園の方にもちらほらと紅葉が生じていた。下り続けると桂川に到着、茶店や船を眺めながら川下へ。ここで飯を食べるのが最適行動だったが、すっかり忘れたまま移動。やがて渡月橋に到着。

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 嵐山を概ね回り切り、じゃあどこに行こうかと相談になった。中々の人混みで疲れていたこともあり、もっと人がいない所を目指す方向で合意。

 

嵐山・南北

 まずは北側、大覚寺へ。

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HITACHIがお出迎え

 入口で拝観券と宝物殿の券を購入。境内はべらぼうに広く、堂宇がずらりと並んでいる。皇室ゆかりのお寺ということもあり、寺というより別荘のようなゆったりとした造りである。順路に従って拝観。お遍路ゆかりの仏様や砂を集めた部屋、写経部屋、何らかの屏風が展示されている部屋など、広い境内を活かして様々なものが見せられている。コンテストが行われていたらしく、順路沿いの庭には菊が多数展示されていた。

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嵯峨菊発祥の地

 しばらくしてから最奥部の本堂に到達。五大明王が祀られている。広い大沢池を間近に望む立地であり、西側の静かな庭と東側の華やかな池の対比が美しかった。その後は引き返して霊宝館へ。詳しくは覚えていないが、皇室ゆかりの品々が小物に至るまで展示されていた印象がある。そして手紙が多い。

 見学の後に入口へ戻り、御朱印帳を受け取りつつ売店を眺める。休憩所もあるのが嬉しい所。休憩の後、大沢池へ。ここもたいへん広く、丁度晴れた空を映していていい眺めだった。

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 周辺の紅葉も色づいており、上下の空色の中を帯のように通るさまが美しい。昨年夜に訪れた時よりも探索可能エリアが広く、対岸や蓮池も歩けて楽しかった。売店も健在。観月会も行われているとのことで、水面に映ればさぞかし綺麗な事だろう。

 

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鎮守社

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蓮池(枯れてる)

 参拝後はバスで再び嵐山中央部に戻り、更に通り過ぎて南下。今度は自分の希望を通してもらい、松尾大社へ向かう。

 既に14時半を回っていたが、飯を食っていないことに気づく。しかし周辺には手ごろな食べ物屋が無い。そこでコンビニでカップ麺買って食おう、という流れになったが、買ってからイートインスペースが無いことに気づく。二人とも相当疲れていたらしい。折り悪く雨も降ってきたため、コンビニの軒先で震えながらカップ麺をすすることに。京都まで来てこんなことさせたのは申し訳ない...

 しかしラーメンの力は強く、少しばかり気力を回復させて松尾大社へ。

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 秦氏ゆかりの神社。その由来もあってか、酒に関して広く信仰を集めており、境内には酒の資料館が存在する。規模も大きく、酒造業の強さを感じる。秦氏関連だけでなく水という点でも酒に繋がりがあり、境内には御神水が湧いているとのこと。お参りした後、資料館へ向かって酒の歴史を眺める。

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諏訪の酒もある(探してみよう!)

 その後は少し南側へ移動し、摂社の月読神社へ。

 

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 名前はよく知られているのだが、記紀での描写が非常に少ないことで知られる月読尊が祀られている。聖徳太子にも縁があるらしい。古代史にロマンを見出す人にとっては垂涎ものの謎に満ちている。境内は大社とは異なり至ってシンプルで、住宅街の中に静かに佇んでいた。

 

 参拝後、17アイスを食べつつバスを待った。新幹線であったためもう次は帰宅、という時間だったが、問題となるのが夕飯である。取り敢えず四条大宮に出てすがりを目指したが、どうもこの日はお休みの御様子。しかしラーメン欲は消えず、相談の末駅近くの新福菜館へ向かうこととした。京都駅でバスを降り、東へゆるりと歩いて向かう。

 

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 特大新福そばを注文。びっくりするほど濃い色をしたスープが特徴的。見た目ほど味は塩辛くなく、それでいてしっかりとした醤油味がたまらない。チャーシューにもよく合う。卵が絡まるとすき焼きめいてなおのこと美味しい。

 食後は京都タワーに後ろ髪を引かれながら駅へ。家族に頼まれていた551を買い、友人にも爆推し布教。たまたま豚まんの日だったらしく、妙な縁がある。その後はビールを買って新幹線へ。駅メモでもやるかと思っていたが爆睡、気がついた頃には東京に戻っていた。家の近くで解散、帰宅後泥のように就寝。

2020/11/03

行動

 7時起床。うだうだして研究室へ。作業をしつつ学会を見る。見たい発表がセッション2番目と非常に早く、不安だったが間に合った。

 自分の発表はもう終わっているので、気楽に見つつ資料を集める。地学系では阿蘇や雲仙に関する発表があり、参考になった。比抵抗率の測定から地中の水分の配置を予測するらしい。

 自分の解析の方はあまりよろしくない。関連する現象に関しては多く発表があったし、条件などもよく示されていたが、精度がよくない&イベント数が少ないお陰で上手く確かめられない。ケーススタディに切り替えるべきか...

 昼を食ったりしつつ午後の特別講演や総会に流れる。総会はほとんど委任と承認ばかりだったが、唯一学術会議に関する話題だけは論争が起こっていた。やはり対応は割れる。全国の学会でこんな事態になっているのだろうか。

 帰宅後はアラフェスを見たりした。相葉すごろくが当時そのままの悪ノリらしく、観なかったことが惜しまれる。40にもなろうかという男性が顔に金粉を塗って乳首穴あきTシャツを着ている様子、恥じていてもはっちゃけていても面白いと思う。

 

 

2020/10/28

行動

 9時半起床。朝食後ラボへ。ついでに神保町へ寄っていくことにした。

 メイン目的はキッチン南海の移転後初訪問だが、到着時は開店から30分ほど前。折角なので本を見て行く。三省堂に寄ったりその辺のワゴンを見たりしつつ、何冊か買い込む。古本なら安いしいくらでもと思ったが、結局火がついて新書まで買ってしまった。商売上手。

 買っているうちに開店時間を過ぎ、店に向かうと20人ほど並んでいた。何もない平日、しかも昼休み前でこれだから流石である。列でカツカレーを注文、しばらく待つ。

 移転後も変わらぬスパイスの味。香草の気配がある。ハルピンラーメンに似ている気がしないでもない。駅までの帰り際にもワゴンが多く配置されており、吸われてしまった。司馬遼太郎街道をゆくシリーズが多く手に入って嬉しい。2/5が海外のものであり、もはや街道で続かない場所まで行っている気はするが。台湾編については当時の国民党総統との対談まで載っているとのことで、楽しみである。

 

研究

 ラボに着いてから解析を始める。Pc3の変調の論文で出ていた例が妙に怪しかったので、本当か?と思いながら他のイベントで実験。いくらか試したがほのかに合うような合わないような結果で微妙な心持ち。例に挙げられていたイベントを試したら滅茶苦茶綺麗でたまげた。これを見つけた時点でもう凄い。

 卒論の時のコードを引っ張り出して相関解析も試みた。ところが内容を所々忘れており、記録をひっかき回して修理することとなった。ちょっと手を掛けて現行でやっている解析の仕様に合わせたが、今後また使うかどうか怪しい。結果も微妙。

 論文読んだりスライド整えたりしていたら22時を回った。先輩と話しながら帰り、ギリギリ二郎に間に合う。

 食べるぞッ!という気持ちで一日過ごしていたので助かった。

 

 

2020/10/17

行動

 7時起床。朝から夜までバイト。イベント明けなのでだいぶ気楽。

 夜はウィスキーを買って帰る。今日はティーチャーズにしてみた。

 

読書

「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン(上)」暁佳奈、KAエスマ文庫

 ようやく上下とも手に入ったので読む。TVシリーズは見ていないが、劇場版のパンフレットで大体の流れは把握済み。したがって巻頭のあらすじから何となくイメージはつけられた。

 読むのに体力を要する本だった。

 情景の描写がとても細かくねっとりとしており、脳内イメージが鮮明に出来る。西欧風の背景世界や、近世めいた文化の表現には魅力を感じた。特に天文都市の描写は面白く、是非映像でも見てみたい所。感情の描写も豊富で、溢れ出るようなシーンでは勢いが余すことなく描かれていた。特徴的なのがヴァイオレットについての描写で、外見・印象共に様々な人から執拗なまでに言及されている。それ故にヴァイオレットの異質な冷静さが際立つし、感情が動いたシーンは稀少に見える。視点の都合もあってヴァイオレットを眺める側に感情移入することが多く、池を跳ねる所や、星を見て喜んでいる所は強く印象に残っている。そのような場面では行間に緩急をつける表現が多用され、やや芝居がかってくどく感じる部分もあるが、溢れるような感情表現に一役買っていたと思う。割と定跡に沿っていてかつ既知の話であっても、ヴァイオレットの描写が絡むと不思議な体験のように思えてくるから妙なものである。

 前半まではこのように感じつつ読み進めていた。時折心が詰まるような描写があり(アンとか小説家の娘さんとか)、目を離して一息つくことはあったものの、静かに読み進めることが出来ていた。しかし、エイダン君の話から風向きが変わり始める。戦争に纏わる後半の話でも、前半の緻密な描写がそのまま保たれていた。郊外の別荘地は死体が並ぶ戦地に変わり、死者への哀悼は死への恐怖に変わり、それが軽減されずねっとりと描かれるのだから大変しんどい。嫌でも想像させられる。特にエイダン君が逃げ回るときは迫真の描写で、無秩序な恐怖が容赦なく描かれている。筆の乗り方が凄い。そんな状況下でもヴァイオレットの描写は変わらず美しく、いっそ不気味に思えてくる。エイダン君の話は一番好きな流れだった。ベタではあるけれど、死にたくないともがきつつ、死に際に諦めからくる優しさを得る様子はたまらなく悲しくて好きである。ユリスもそうだった。遺体を故郷に持ち帰る様子は前に比べればあっけないほど簡潔な描写で、それが尚更悲しくさせる。

 最終章ではヴァイオレットの前半生が描かれており、覚悟はしていたがまあ血みどろのドロドロであった。戦争で生じる諸々の悪事についても割と容赦なく描かれていた。入場者小冊子で大佐がやっていたえげつない戦術もその一端だったのだろう。あのifでは大佐が情を持ったがために多少良い未来に進んでいたが、こちらは道具として少佐の下に渡っており、苛烈極まる道筋を進んでいる。少佐も少佐で有能な上に善人の人格者という軍人に不適すぎる性格をしている方だった。事あるごとに良心が痛めつけられている。それでも規律を保って的確な作戦行動を行う有能さが余計悩ましい。戦場の悲惨さが強く出ている分、劇場版であれだけ罪悪感に悩んでいたことへの理解が進んだ。ヴァイオレットがどれだけ人外じみた活躍をしても人間として接することが出来るのは人格の強靭さを感じる。己の道筋に頑固過ぎて難儀している様子はもどかしい。考えれば考える程教師向きな性格である気がしてくる。

 エイダン君の時も出てきたが、ヴァイオレットの戦闘描写はファンタジーを感じるほどに華麗かつ過激で、やられた側の状況まで丁寧に描写してくれている。流石に映像化の際はマイルドになっていると思いたい。極めつけは最後に両腕が落ちる所であり、肉が抉れて筋が切れていく様子が6ページにわたって描写されている。この直前時点で初めて描写がバイオレット視点になっており、なおのこと痛ましい。しかし目の前で少佐が窮地にあれば、当然それくらいするんだろうな、と納得させる凄みがここまでの話にはあった。

 全体的に視点が他人な分、「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンの伝説」というものを他人から伝え聞いているような流れであった。しかし描写が濃いお陰で読書感は当事者のそれに近い。ヴァイオレットに感心したりままならぬことに悶えたりしながら読み進められた。劇場版とは違い、少佐の最後の行動がつかめた状況にあって、下巻でどう展開するか楽しみである。

 アニメ版との差異も気になる所。残酷描写が減っているのは仕方なさそう。少佐の行動も分岐していた。特に気になるのは、パンフレットのあらすじでは「ヴァイオレットが過去の殺しを悔いている」という点が複数の回で強調されていたものの、上巻時点ではそのような言動が(直接的には)見られなかった所である。死刑囚の所で罪の認識はあるように見えたが、悩んでいるようには思えなかった。下巻で色々なことを知って罪の意識も覚えるのだろうか。小説版のこの描写で来られたら精神が持たなさそう...

 本編とは関係ないが、後書きまで鬼気迫っていてちょっと心配になる。