2020冬四国・一日目(香川)

 この年の冬、JR四国から「冬の四国満喫きっぷ」たる大変お得な切符が出ていた。4日間13000円で特急乗り放題と好条件。行かねばなるまい。

 

夜行

 四国までは自前で行かねばならない。今回はサンライズ瀬戸を選択。19時頃までバイトの後、帰宅風呂飯を済ませて東京駅へ向かう。

 

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 サンライズは出雲を一度、姫路下車を一度利用しており、今回は三度目である。ノビノビ座席に空きがあったため確保。先の二回では埋まっていた席であり、今回が初の利用になる。

 買った席は下側。座席はかなり硬めで、フェリーの雑魚寝席に近い感触だった。つい立てのお陰で個人空間は意外と確保されている。しかしやはり狭く、リュックでも置き場には困ったので、スーツケースだと更に厳しいかもしれない。

 乗り込んで姿勢と身支度を整える内に発車。途中品川・横浜と停まるホームを下から眺めつつ酒を飲む。熱海に着いた辺りで寝ようかと考えていたが、興奮と座面の硬さでほぼ眠れず。上着を敷いたり鞄を枕にしたりと試行錯誤の末、諦めて車窓を見る。

 三島を越えた辺りから、市街地が車窓の多くを占める。山間地に比べて街灯のある分町の様子は見えやすい。たまに24時間店舗の光が見える国道沿い、動くものが無いかと思いきやたまに人/車が通る住宅街、微妙に明かりがついている駅など面白い。

 駅メモをポチりつつ、京都だ大阪だと興奮している内に夜明けが近づく。岡山に着くころにはやや空が白み始めていた。そのまま南下し、瀬戸大橋を通る頃になって日の出が来る。 

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 座席の窓は東側。目には悪いが、存分に夜明けを見られて有り難い。橋の上では瀬戸内の島々が点々と現れ、その間から太陽が見え隠れしている。四国側には造船所が堂々と並び立ち、煙を噴き上げていた。上陸する頃には下車寸前、慌てて荷物をまとめる。列車は高松まで向かうが、自分は坂出で下車。

 

うどんとこんぴら

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 改札外へ出た後、フリーきっぷで再入場。予讃線のホームへ向かって乗り換えを待つ。時刻は7時、通学の時間とあってか学生が多い。車窓には綺麗な三角形の山々が見えていた。郊外めいた街を南下し、善通寺を過ぎると琴平駅に到着。

 

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国鉄琴平驛

 レトロな駅舎の反対側には狛犬が鎮座していた。金毘羅宮まで2km弱、徒歩で20分ほどの参道を歩く。

 駅正面の道をまっすぐ進むと大きな灯籠が見えてきた。そばの公園内には更にドデかい灯籠がある。解説板によると奉納品らしい。この手の奉納品はこの後も大勢現れており、門前町らしさを否応にも感じさせられる。

 

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 公園の向こうにはことでん琴平駅がある。ここでロッカーに荷物を預け、身軽になって再出発。駅北側の川を越えて進む。南へ向かう通り沿いにはホテル・土産屋・うどん屋などひしめき合っていた。密度の高い街ながら、大きな駐車場をよく見かけた所も印象深い。ホテルには日帰り温泉の表示もあり、少し気になるが振り切って進む。

 

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 ややあって表参道へ到達。観光地らしい店が立ち並ぶが、朝8時とあってはどこも閉店中。と思いきや、一軒のうどん屋が開いていた。これ幸いと朝食に突入。

 

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うどん①

 一食目はこんぴらうどん参道店のしょうゆ玉うどん。コシの強さは流石。580円とこの日に食べた中では高額な方だが、相応のボリュームがある。醤油が妙に美味かった。

 店内は広々としていた。木材を荒々しいまま使ったテーブルが印象深く、後で調べると築数百年の建物だとか。とはいえ朝八時、いたのは自分一人。団体客が入るキャパはあるし、本番は昼なのだろう。

 

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要所要所に段数表示がある

 食後は参道へ向かう。一度登り始めてからはひたすら階段、階段、息つく間もなく階段の連続である。急坂が続く中でも両脇の土産屋は途切れなかった。しかし全部シャッターが下りている。

 

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 登りきると大門。ここで一旦平坦に。門をくぐった先には四人のおばちゃんが居て、朝早くからそれぞれ飴を売っていた。先には石畳が続き、両脇には奉納碑が連なる。

 

 鳥居に差し掛かるとまた階段。いくつかの摂末社を経た後、本宮に到達。ここまで785段らしい。

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 時刻は9時前、ふもとの様子に反して朝早くから人が多い。裏参道があるとのことで、地元の方々だろうか。並んで参拝。

 

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数々の写真の他、黄金のスクリュー像もある

 本宮は複数の建物が繋がった構造。近くの建物には船舶関連の品々がわんさか奉納されていた。流石は船に定評のある金比羅宮。公式サイトも凝っているので一見の価値あり。

 

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ここでも童話のような山々が目立つ

 背後を見ると展望台があり、讃岐平野を望める。ここから海も望めるらしい。

  参拝はここで終わらない。背後の琴平山を上がると奥社が存在し、本殿裏から階段が続いている。休憩の後に登っていく。登りはかなりハードで、沿道の風景は登山そのものである。

 

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物資運搬用の索道まである

 

 途中いくつかの摂社を過ぎつつ登っていくと、行き止まりに立派な社が見えた。ここが奥社らしい。

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 近くには社務所らしき建物もあったが、この日は閉まっていた。人もまばらで、周辺環境だけ見れば山奥の静かな神社といった趣だが、拝殿は相当に派手である。

 

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天狗の修行場

 別ルートから更に山頂へと登ることも出来るらしいが、体力と相談して退却。再び本殿へ戻り、市街へと降りていく。参道脇に宝物館があったのでついでに拝観。かつての本尊たる仏像や、百人一首特集が展示品では印象深いが、何より洋館めいた建物がかっこよかった。

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段数が住所代わり

 飴売り四天王を抜けてガシガシ降りると門前街で、時間が下ったこともあって混雑していた。途中で酒蔵に寄って補充。うどん学校の看板が気になる所だが、時計を見て泣く泣く断念した。しかし胃はダメージを受けたので、駅前近くにあるカレーうどん店へ向けて前進。

 

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 参道を外れていくとごく普通の地方都市であった。途中通った商店街は、先ほどの賑わいが嘘のような静けさの中にある。全体的にシャッターが目立ち、空いているのは薬局と飲食店くらいであった。休日の方が本番なのかもしれない。

 そのままカレーうどん、と行きたい所だったが今度は電車のダイヤが許さない。未練を残しながら駅に向かう。記念にIRuCaを購入した所、他で使えないが大丈夫かと再三確認された。実際、今なおチャージが700円ほど残っており、使う機会は日常にない。またいつか使ってチャラとしたい。

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船の町

寺社とうどんと温泉

 しばらく琴電に揺られる。欲が収まらず、車中で次のうどん情報を調べていた。流石は琴電、沿線のうどん情報は中々の充実ぶりである。その中でも一つに目星をつけると、その最寄りから三駅ほど隣にある「一宮駅」という駅名に気がついた。その規模からてっきり金比羅宮が讃岐国一宮なものと思っていたが、あちらの歴史はそこまで長くないらしい。気になったので一宮→うどんのルートを取ることとした。

 

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白ポスト・消えかけことちゃん・ことちゃん・ことちゃん

 駅を降り、一宮に向かっていくとまず寺が見えてくる。その名も一宮寺である。

 

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 当初は別の名前であったが、隣に一宮が建立されるにあたって別当とされ、今の名前になったらしい。境内はそこまで広くないが、様々な建物が軒を連ねている。八十八カ所の一部らしく、お遍路さん関連の案内も多く出されていた。傘立てならぬ杖立てもある。

 

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世代交代

 参拝の後、裏側へ抜けるとすぐ一宮への入り口である。一礼して向かう。

 

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 讃岐國一宮、田村神社。創建は古く、相応に敷地も広い。種々の建物に湧水の庭園まで抱える立派な神社である。本堂も堂々たる佇まいで威厳を放っている。しかしそれ以上に、境内に異様な密度で立ち並ぶ信仰の数々に度肝を抜かれる。

 

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 入った南西側の入り口から北側までくねくねと参道が続いているが、その脇には所狭しと数々の石像が並べられている。観音様、犬、狐、七福神、男根と錚々たる神仏が居を構え、それぞれにキチンと鳥居や由緒の説明が伴っている。池の島には宮島社、連続鳥居の先には稲荷社、水の近くに龍神像と配置も抑えている。一つ一つは摂末社でよく見かける神仏であるが、こうも大集合なさっていると唯々圧倒されるのみである。それらが境内の隅に寄せられることなく参道脇に連なっているのでなおのこと印象が強い。全てとは行かないが、お参りしながら北側へ抜けた。

 

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 参拝後は東へ向かい、うどん屋を目指した。概ね普通の地方然とした町並みだが、三角山とため池が異彩を放っている。しばらく抜けると住宅街へ突入、右へ左へ行くうちに目的地のうどん屋、うどんの田が見えてきた。

 

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 ガレージめいた入口からこじんまりとした店内へ入る。ピークは過ぎたがそれなりに盛況の時間である。提供はお馴染みセルフうどんの方式であり、レンコン天を取ってからかけうどんを注文。席に着いて食べる。

 

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 あっさりとした出汁にコシとのど越しに優れた麺、これぞ讃岐うどんと拍手したくなるシンプルな美味しさであった。レンコン天もシャキシャキ感がたまらない。大変満足感のあるうどんであったが、後から店の名物が角煮うどんであったことを知り、若干後悔している。要リベンジ。

 

  食後は琴電を横切り、仏生山温泉へ向かう。仏生山の町並みはやや古く、時折和菓子や仏具の大店を見掛けたのが印象的である。しかしいずれもこの日は閉まっていた。 

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 駅から徒歩10分の好立地ににある施設。モダンな建物の造りが目を引く。内部も中々洒落ており、突き抜けた廊下には体に優し気な商品や各種の本がすらりと並べてある。

 程よい照明と大きく壁側に開けた窓といい、門外漢でも気を遣って作られたと分かるような建物であった。脱衣所にも露天風呂に面して大きな窓があり、脱衣所らしからぬ解放感を有していたことが記憶に残っている。露天から外は見えないが、中央に庭があって落ち着く眺めである。

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 見掛け倒しに終わらず、泉質まで素晴らしいのがこの温泉の凄い所である。お湯はかけ流し、ヌルヌルでややしょっぱい味と泡付きをもつ優れた温泉である。加温の無いお湯は特に特徴が強く、泡がひっきりなしに上がってくる。この時期はやや寒さが勝ったが、夏に行けばさぞ爽快な事だろう。そもそも四国で冷鉱泉以外に入れること自体が凄いのに、特徴までハッキリしているのだから大したものである。その割に入浴料は700円とそこまで張らず、24時まで営業と使い勝手はすこぶる良い。また行きたい。

 

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 入浴後には一瓶。お洒落空間の廊下には畳もあって居心地がいい。翌日以降の作戦を練りながらしばし休憩。グッズも見て回ったが、些か値が張るので冷やかしに留める。

 

うどんと公園

 再び町を通って駅へ。途中で日劇の劇場的なものを見掛け、未だあることに驚く。駅にはことでん駅図書館と称した寄付本で構成された本棚があった。閲覧自由、200円で購入も出来るらしいが、特に興味のあるものは無し。車庫があったので出し入れを眺めながら電車を待ち、来たところで乗り込んで北へ。 

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 ほどなくして栗林公園駅で下車。第三のうどん屋へ向かう。だいぶ高松に近づいたこともあって町並みが都市めいてきた。天気は更に傾き、雨がそぼ降るようになったが歩けないほどではない。旧街道をぬらぬら歩くと店に着く。

 香川出身の知り合い二人から勧められた名店、上原屋本店。人気も相当なようで、雨天平日の15時過ぎながら店内には少なくない人数が。早速注文コーナーへ向かい、かけうどんに加えて天ぷら二種とおでんも注文。ここは提供が完全セルフ方式で、会計時に貰ったうどんを湯がいてつゆを掛ける所まで自前で行う。その後は薬味を加えて席へ。

 

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 いたってシンプルなかけうどん。しかしこれがこの日一番と断言できる非常に美味しいうどんであった。何と言ってもつゆが良い。いりこ出汁と醤油が香り高く、これだけでもお代わりしたくなるほどうま味に満ちていた。麺も貫禄のコシとツルツル感、派手な所はないのにとにかく美味しい。詳細は覚えていないのにひたすら美味しかったということは記憶に残っている。サイドの天ぷらは普通に美味、おでんは食べたことのない海鮮つみれめいた味だったが中々うどんに合う。推薦してくれた知人には感謝してもしきれない。帰り際に持ち帰りセットを見て飛びついたが、出汁は別の所で作ったものだそうで落胆した。現地でしか味わえないのだろうか。

 

 満足感と共に店を後にし、栗林公園へ向かう。相変わらずの雨で、周辺に人はまばら。中でもあまり人と会わなかった。バカ広いのも一因だとは思うが。

 

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 入ってすぐの所にはボランティアガイドの方が数名おられ、声を掛けていただけたので案内をお願いした。栗林公園は国立公園で一位の広さ*1を誇る超大庭園で、案内も相応に時間がかかる。一時間も無料で案内してくださったおじさんには頭が上がらない。面白ポイントも解説も大量にあったが、日本三名園に選ばれなかった恨み節*2・松の手入れの話*3*4・クソデカエピソード*5*6などはことさら印象深い。チームラボとのコラボ*7など、裏方の企画頑張りも教えてくれた。

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 庭園としては水の配置と山の借景を意識したそうで、見張らせる場所から見ると絵画のような見事な眺めである。浜離宮を進化させるとこのくらいになるのだろう。

 

 一通り案内を頂いた後に再び一人で回った。まず初めに向かったのは商工奨励館である。明治に建てられた由緒正しい建物の中には、公園情報の他に地元の各手工芸の展示も為されていた。漆芸は特に凄かった。

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関連作品が調べても見つからない

 園内は木々に満ち溢れているが、その中でも松は至る所にある。解説を思い返しながら見ると中々面白い。偉人御手植えの松もわんさかあって逆に没個性的である。その他、季節柄梅園も咲き誇っていて美しかった。元は薬草園らしい。

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 自然美を活かした部分では水回りが素晴らしい。外周の滝、鴨がうようよいる池、そして一番デカい心字池などどれも見事である。前者二つはスケール一辺倒にならない配置の妙があって楽しかった。

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人工の滝、かつては手動で水を運んで流していたらしい

 歩いているだけで飽きず、計2時間ほどうろついてから土産物屋へ。ヤドン県グッズなど買って駅へ帰る。

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ナ゛ョナ スー ー

 三度ことでんに乗り、高松駅へ。駅ビアバーも楽しみにしていたが、情勢があってかこの日は閉まっていた。仕方ないのでJR高松駅へ直行、キオスクで酒とつまみを買って乗車。

 

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くし型ホームはターミナルの華

 特急フリーの切符を活かし、松山まで一気に2時間の特急旅を選択。JR四国らしいアンパンマン特急で、車内アナウンスもアンパンマンだった。車窓の海を目当てに右側に座ったがすっかり日が暮れており何も見えない。地図と駅メモを見比べながら、暗闇の途中駅に思いを馳せつつ過ごす。こういう時に周辺の情報が手に入る駅メモ駅ノートは役に立つ。残念ながら知った所で降りられる行程ではないが。

 寝たり飲んだりしている内に松山到着。

 

うどんと温泉②

 

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 到着時刻は20時半、町はすっかり静まり返っている。路面電車で向かった道後温泉も、空いているのはコンビニ程度。そこらの住宅街と何も変わらない、静かな道を歩いて宿へ向かいチェックイン。

 格安のゲストハウスながら、内装はヨーロッパめいた土壁で趣のある佇まい。かつて看板犬が存在していたらしく、亡くなった今でも随所にイラストや写真が見られる。遅寝早起き人間としては門限無しで電子錠式の入り口が嬉しい。荷物を置き、まずは夕食へ向かう。 

 空いている店が少ない中、有難いことに遅くまで営業している鍋焼きうどん屋のまんまへ入る。

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 鍋焼きうどんの他、地酒とお勧めされた昆布とじゃこのかき揚げを注文。鍋焼きうどんは卵が染みる温かい味。ここまでコシつようどんだらけだったので柔らかさが新鮮に感じる。じゃこかき揚げは中々の硬さで、しゃぶるように食べるとじわじわうま味が染み出してきて面白い。酒に合う。

 食後に店長と二三話をした。曰く、某の影響で中国観光客が減り、それに伴い客も減ってしまったとのこと。時間が遅いこともあるだろうが、確かにこの時は自分一人だった。副次効果として道後温泉が比較的空くようになった、というのは自分にとっては朗報である。ピーク時は脱衣所に列が出来るとのことだから恐ろしい。しかし今も油断ならないとのことだったので、急いで宿に戻って突撃準備を整える。ありがたいことに、宿に銭湯セットが常備されていたのでお借りする。

 支度を整えいざ突撃。坂を下るとそこには巨大な道後温泉本館があった。

 

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 この時は改修中で使えるのは大浴場*8のみ。他の浴場や休憩室は閉鎖されていた。それでもそれなりの規模で、入口には受付と券売所がキッチリ整えられている。金を払い、脱衣を済ませて浴室へ。

 浴室に入ると、まず中央の巨大な像が目に入る。湯口を備えたその円筒状物体は湯釜と呼ばれるらしく、刻まれた文字が古めかしい威容を放っている。その割に浴室はあまり広くない。浴室のスタイルは湧いた湯をそのまま使っている時代から貫徹しているのだろう。洗い場も外周の壁にカランが並ぶ形で、如何にも銭湯然としている。しかしながら壁から床まで石造りの構造であり、日常と隔絶された雰囲気の中にはある。重文は伊達でない。それでもまだ地域の銭湯として機能しているのが面白い所で、この時も時間が遅いにもかかわらず常時7人ほど滞在していた。値段も430円とお手頃。お湯は特徴が薄く、また塩素消毒の匂いがかなり強いこともあって泉質は微妙。

 いくらか温まってから外へ。暗い商店街を抜けてファミマで買い物、翌日の飲食を調達。土産物屋としても機能しているのだろうか、ポンジュース関連の商品が入口入ってすぐの棚で壁を形成している。気圧されてポンジュースを購入。

 

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POM

 その後は宿のドミトリーで就寝。

 二日目に続く。

*1:裏山も含めての面積だが

*2:幕末の藩主が官軍に弓引いたから明治で立場が悪くなった、他のより優れていると名のある学者も言ってた

*3:松は必ず上向きになるようカットする

*4:いい松はただ一人許された庭師しか手入れできない

*5:本来端にあるはずの武道場が拡張で中央になった

*6:裏山の松千本がマツクイムシの被害に遭った

*7:この日は週一の定休日だった

*8:神の湯