2019冬磐越+野沢温泉・二日目

0530~0815 寺尾散歩・寺尾~吉田~弥彦

 5時起床。身支度を済ませて精算、外へ出る。途中鼻血が噴出、備え付けのティッシュに助けられる。

 始発にも間に合う時間であったが、この日は別の目的があった。海岸線まで徒歩30分という立地を活かし、朝の日本海を拝もうという算段である。前日の常磐線で太平洋を見たこともあり、日本海を見れば東西セットでお得、などと考えながら歩いた。

 

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小さめのカーブミラーをよく見かけた

 

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町中のグローバル

 冬至も近く日の出は遠い。暗い住宅街を歩く不審さもよろしくないが、何より辛いのは寒さだった。家々に二重扉が用意されるような土地であり、容赦ない寒気が吹き付ける。気合と防寒で耐えるほかない。

 そうした苦難の末に辿り着いたのがこの景色である。

 

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交通量は物凄い

 音だけは聞こえるので、向こう側に海があることは分かった。しかし柵か何かで全く見えない。見渡す限り切れ目も無い。これほど下調べの重要性を知った日は無い。

 間の悪いことに、次の電車にはギリギリ間に合わないような時間。寒さで辺りをうろつく戦意も失われていた。凍え死ぬ前にファミマへ避難、カップ麺で凌ぐ。

 このように当時は落胆していたが、後からストリートビューで見た所、普通に柵の切れ目はあった。しかもそこから間近に海が見える。ただ暗くて見えなかっただけだろう。数分待っていられれば、あるいは帰り際に見渡せば...と後悔しきりである。

 

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日没の方で有名らしい

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救い

 20分ほど休憩してから駅へ向かう。ルート中で公園に遭遇した。近づくと結構な高さの階段があり、ウッとなったが最短ルートなので登る。

 

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 公園は高台になっており、来た道を振り返ると海が見えた。当初の想像よりは大分狭い。見られたので良しとする。

 

 駅の窓口はまだ開いていない。18きっぷ故どうしたものかとインターホンで聞くと、降りた所で判を押すようにとのこと。一時的なキセル状態になりつつ構内で待ち、7時きっかりに乗車。1時間ほど電車に揺られる。

 道中の車窓は田んぼ尽くしだった。とっくに収穫は済んでいるが、それでも田んぼと分かる。やがて市街地に再突入すると、すぐに吉田駅へ到着。ここで20分ほどの乗り換え待ち。

 

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 少しだけ出場して駅員さんにハンコを押して貰った。跨線橋から景色を見渡す他にやることもないので、既に来ていた弥彦線へ向かう。素人目で見ても古い車両だったが、暖房の効きは良かった。中でぬくもっているうちに発車。15分ほどで弥彦駅に到着し、ロッカーに荷物を預けて彌彦神社へ向かう。

 

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弥彦駅

0814~1149 弥彦山登拝

 駅から神社へは10分ほどの道程だった。道中はいかにも門前街といった装いであり、宿屋や土産物屋が立ち並ぶ。名物らしい饅頭の蒸気が魅力的だったが、どこも開いていないのでスルー。温泉も湧いているらしい。次は泊まりたい。

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たぬき風呂とは一体...?

 事前に調べて知っていたが、この先で使う予定だったロープウェイの運休告知を見掛け、再度落胆。ついでに持ってきた傘の取っ手が取れた。不吉。

 土産物屋の密度が高まり、いよいよ真打登場というタイミングで鳥居が見えてきた。くぐって参道へ。

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 越後国一宮彌彦神社続日本紀日本三代実録にも言及が見られる古社である。戦後に入ってから初詣で群衆事故が起きており、失礼だがそれを切っ掛けとして知った。それほど周辺の信仰を集めている神社なのだろう。

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 境内は程々の広さ。その割に建物が多い。弓道場や相撲場から鹿園や鶏舎までバリエーション豊かであり、建てられた年代も様々。ただ一の鳥居から本殿までの参道は木々に挟まれ、静謐な環境だった。まっすぐ歩いて拝殿に向かい、参拝。その後は本殿脇から後方へ続く道を伝っていく。

 神社の背後には弥彦山があり、彌彦神社の由緒では祭神が葬られた場所とされている。その為山頂には御神廟があり、山全体も神域であるが、登ることはできる。ロープウェイもあるが前述の通り休み、登山道から登っていく。

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冬山では細心の注意を

 登ってすぐの位置に茶屋らしきものがあり、雑然としている。しかし休み。紅葉も終わった冬山、概ねオフシーズンなのだろう。 

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 茶屋を過ぎた後はつづら折りの道を上がっていく。標高はさほど高くない上、道も整備されていて歩きやすい。そのためかオフシーズンながら人はそこそこ出ており、登山慣れしていそうな団体や地元民らしき方々を見掛けた。後者の方には話し掛けられ、出身を答えたり、道の状態を聞いたりした。拝見した限り結構な御年のようだが、毎日登拝しているとのこと。屈強。

 

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親切なやまおとこ

 暗い道が続くが、30分ほどすると視界が開けてくる。看板や休憩所もちらほら見られるようになってきた。足元は相変わらず悪く、空は曇りっぱなしだが、たまに越後平野が見えると気持ちいい。

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 同時期に鳥居も見られたが、祠や堂のようなものは見られなかった。ひたすらに参道が続いている。地域柄修験道の方と結びついてもおかしくないように思えたが、調べた所神仏分離の時にかなりカッチリやったらしい。在りし日は山麓の国上寺とも関わりがあったとのこと。

 さらに進むと再び鬱蒼とした道に入る。日当たりが悪い上に近くを小川が流れており、足元の悪さはピークに達する。整備されているとはいえ、滑りやすい石の上を通るような箇所もある。柵を掴みながら通過。

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左へ進むとアンテナ、右へ進むと展望タワー

 頂上付近には分岐があり、看板に従って左へ進む。すると突然アンテナ類が目に入ってきた。NHKのロゴを冠した建物もある。立地上越後平野に電波を届けやすく、各局のアンテナが集結しているらしい。前後の様子を考えると中々異質な風景ではあるが、山頂らしいといえば山頂らしい。

 

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 少し進むと鳥居と授与所がある。例によって授与所は休業中。

 

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 その奥には山頂があり、御神廟がある。鳥居をくぐって参拝、拝礼。

 

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 山頂周辺は非常に壮大なパノラマが広がっている。特に南西の越後平野側は開けており、よく見える。地平線の間際に至るまで、あらゆる場所に田んぼが広がっていた。収穫前には更に美しく染まった大地が見られるのだろう。

 

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 南方向には山並みが広がっており、その向こうに日本海と長岡が見えた。内陸方面へ流れていく信濃川が目立つ。

 

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 北西側はやや木が茂っていたが、その向こうに日本海を望むことが出来た。海を挟んだ向こう側には佐渡島が横たわっている。想像以上に近くてデカい。海の近さも面白い所。反対側はだだっぴろい平野なのに、こちらは山から下ってすぐ海である。

 

 佐渡と併せて国定公園とのことで、風景の解説パネルのような物も置いてあった。しばらく休んで風景を見ていた所、パラパラと降雪が。弱い雪とはいえ続かれたら困る。用心して下山へ向かうこととした。来た道を降りるだけなので気楽ではある。その上途中で雪も止んだ。

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登山道のショートカット地点にあった鳥居

 茶屋を過ぎて鳥居をくぐれば境内到着。再度本殿へ参拝し、御朱印を頂いた。続いて境内を少し散策。

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年始を控えた修羅場の様子
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大鹿トークンの群れ

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 帰りは行きと異なるルートで駅へ向かう。表参道を外れると至って普通の住宅街といった風情であるが、時折宿泊施設も見られた。前日に存在を知って歯噛みしたゲストハウスも途上に存在。良い所にあるな...

 駅に着いてリュックを回収、少し待ってから乗車。

 

1149~1508 弥彦~吉田~新潟・麺と酒

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見渡す限り

 弥彦線から吉田経由で越後線へ乗り換え、新潟へ。再度田んぼを眺めつつ進み、着いたのは13時前。すぐに駅を出て市街へ歩いていく。流石は県庁所在地、表通りを外れても茅場町程度の街並みはあった。10分ほどで見慣れたカラーリングの看板が現れる。

 

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 ラーメン二郎新潟店。2015年オープンと比較的新しめの店舗。30分ほど並び、食券を買って渡す。同時に全マシをコール。

 

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クリスマスらしい装い

 小全マシ。インスパイア並みの容赦ないヤサイの盛りがまず目を引く。豚もデカく、ニンニクもガッツリ入るため、味の威力が強い。スープの乳化具合も強めで麺は噛み応えのある平麺、まさしく二郎らしい二郎である。卓上に一味があるのも嬉しい所。ガッツリ頂いた。

 食後は再び駅へ戻る。構内を抜けて第二の目的地・ぽんしゅ館へ。

 店内はかなり広い。酒瓶がズラッと並んでいるイメージだったが、売り場面積は半分ほどとさほど広くない。残り半分にはおつまみ類が並び、こちらもまた魅力的である。特に味噌や醤油の試食は楽しかった。購買意欲を煽られる。

 しかしぽんしゅ館のメインといえば試飲コーナーだろう。店内奥へ向かい、500円を払って試飲用メダルを貰う。

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 ずらりと並んだ銘柄に圧倒される。コーナー内には酒のサポートも充実しており、熱燗マシンややわらぎ水、情報展示、つまみの味噌・塩など完備されている。何故かキュウリも売られていたので購入、塩で食べた。

 試飲した銘柄は真野鶴純吟(尾畑酒造),米百俵純米(板倉酒造),しぼりたて純米原酒(越後鶴亀),天領盃純米(天領盃酒造),加賀の井純吟(加賀の井酒造)。舌の都合であまり覚えていないのだが、米百俵の味の濃さ・それに対する越後鶴亀のスッキリ感と、何より加賀の井の圧倒的なメロン味が印象に残っている。試飲後は返却機でアンケート的な物に答えて終了。

 売店へ向かい、試飲を踏まえて買うべき酒を思案する。会津でもう土産の酒を買ってしまったのでこれ以上は増やしがたい。しかし気に入った酒は皆四合瓶以上のみであり、宿で飲むには少し多い。散々迷った末に関係ない上善如水の新酒を買った。ついでにカニ味のご当地コーラも購入。

 まだ予定の電車には時間の余裕があったので、少し土産物屋を物色。流石は越後、米菓の天下であった。その中でも亀田製菓は特に目立っている。

 土産用に柿の種クランチを、自分用にサラダホープを購入。これでええかと思った時に笹団子が目に入り、つい買ってしまう。ふと振り向けば海産物が目に入り、延々と買ってしまいそうだったので退散。早めにホームへ向かう。しばらく待って信越本線に乗車。

 

1508~1847  新潟~長岡~越後川口~上境

 クリスマスイブとはいえ平日、それなりの人出であった。途中乗換の長岡駅では帰宅ラッシュと重なり更に混雑。東京に比べれば軽いとはいえ、座れないほどではあった。20分ほど乗って越後川口で再度乗り換え、飯山線を進む。

 こちらは逆に人が少なく、学生が数人いるばかりである。クロスシートに乗れたがもう日没後、窓の外はほとんど見えない。山中の路線ということもあり、市街地を離れると街灯も稀になる。本を読んで時間を潰した。

 途中車窓が一瞬明るくなり、振り向くとイルミネーションが見えた。見た所民家の飾りつけらしい。人が住んでいること、イルミネーションが設けられていること、それが線路へ向けられていることに三重の驚きを感じた。突然のことで記録が取れず、今でも現実の出来事か分からない。

 それ以外は特にイベントも無く千曲川沿いを邁進。章を読み終わって素晴らしい読後感に包まれたり、水で有名な津南を通ったり、駅メモで途中駅の蕎麦屋情報を得ているうちに上境駅へ到着。降りたのは自分一人であった。ここから宿へ歩いて向かう。

 

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1847~2047  野沢温泉・夜

 飯山線には戸狩野沢温泉という駅もあるが、野沢温泉の最寄りはこちらの上境である。ここから歩いて60分ほどの距離。距離こそ前者に比べて近いがバス便は無い。すなわち徒歩が最良となる。

 駅周辺には民家もほとんど見当たらない。道は広いが街灯はまばらで心細い。星がやたらとよく見えるのは利点である。少し歩いていくと川沿いに温泉施設が見えたがここはスルー。千曲川を渡り、山の方へ向かう。

 野沢温泉への道はそれなりにしっかりしており、時折チェーン着脱場も存在している。しかし相変わらず街灯は少ない。聞こえるのは横を流れる川の音と車の通行音ばかり。この車の音がやたら響くため、遠くの車に怯えて路肩に寄ったりしていた。時々本物が近くを通るので油断ならない。

 幸いなことに途中に集落があり、進む方向には自信を持てた。その後は田畑が続くが、しばらく進むと上方に野沢温泉の大規模な街明かりが見え、勇気づけられる。しかし登りが続くことも同時に知らされた。

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宣言表示板が出迎えてくれる

 ガシガシ登ると野沢温泉村役場が見えてきた。ここから先は市街地となる。山中の温泉街と聞いてイメージされる物よりははるかに栄えており、小学校もあれば文具屋もある。明らかな中心が無いことも含め、普通の地方の町といった様相である。飲み屋やスキー用品店が多い辺りは観光地らしい。

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ケバブ屋もあるよ

 しばらく登ると宿に到着。二重扉を開けると食堂に入る。二階を宿として運用している形式だったので、レジでチェックイン。通された部屋は4畳半+8畳とかなり広く、一人では持て余すほどだった。荷物を置いて一息ついた後、階下の食堂へ。夕食無しのプランだったので適当に頂く。

 

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 インバウンドで大いに賑わっていた土地らしく、この店でも外国人客に完全対応。タブレットから多言語対応の注文システムを利用する形となる。実際にはす向かいのテーブルには欧米風の御夫婦が、隣のテーブルには中国のグループ客がいらしており、人気の程が伺える。よっぽど多いのか、自分も店員さんに英語で話しかけられた。

 

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 折角越後に来たんだし*1、米が食いたい!と考え親子丼を注文。うどんもこの店の名物らしいので注文。ついでに酒も頼む。おつまみ代わりに落花生がついてきた。隣の方々も同様に酒を注文していたが、落花生の食べ方で試行錯誤している様子だった。

 食事中にも次々と客が来訪、店内はおよそ8割ほどまで埋まっていた。平日なのに中々の繁盛ぶりである。しかしこのシーズンは暖冬、年末になってもまだスキー場が使えないとのことで、スキー客は比較的少ないはずである。オンシーズンの休日などどうなってしまうのだろうか。

 食後は部屋へ戻り、着替えて内風呂へ。内風呂は温泉ではなく水道水だったがそれなりに広く、汗は流せる。軽く入って整えた後はタオルと貸し出し用洗面セットを装備。勇んで外湯へ向かう。

 

2047~ 野沢温泉外湯巡り

 野沢温泉には13の外湯(共同湯)が存在し、その全てが源泉かけ流しがそれに近い方式である。外来の客でも寸志で利用できる上、朝は6時から夜は23時まで開いているという大変便利な仕様である。管理なさっている地元の方々には頭が上がらない。今回も有難く利用させて頂いた。

 それぞれの外湯は広い野沢の村内に点在している。この時はまず西側を回っていくこととした。まずは大湯へ。

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 野沢温泉の代表とも言える外湯であり、大きく立派な湯屋建築が目を引く。内部も広い。ただし脱衣棚と浴場がそのまま地続きになった構造ではある。野沢の外湯は殆どこれで、他には別府の共同浴場も同様の構造であった。これが原始的な湯屋の構造なのだろうか。大湯は比較的セパレートされていた方ではあった。

 中では硫黄臭がハッキリと嗅ぎ取れる。湯船はあつ湯とぬる湯の二つあり、大きな浴槽が木で仕切られた格好となっている。あつ湯は本当に激烈な熱さで、おそらく45,6℃はあったんじゃないかと思う。ぬる湯もぬる湯という割には熱め*2。透明ながら微かに白い湯の華が見られた。ピリピリと染みるような感触でよく温まる。

 流石は野沢温泉の顔、常時4~5人はいたように思う。皆ぬる湯に入るのでそこそこ混んでいた。温まった所で退出、次へ向かう。

 大湯の西方には旅館が立ち並び、間を細く曲がりくねった道が通る。進んでいくと視界が開け、それと共にかなりの湯気が飛び込んできた。

 

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 ここは麻釜と呼ばれる源泉で、国の天然記念物にも指定されているらしい。90℃近い高温のお湯が湧いており、昔から調理や麻の加工に用いられてきたとのこと。誰もいない夜中だろうとお構いなしに湧いていた。なお村民以外は立ち入り禁止。

 麻釜を過ぎて少し歩き、車道を曲がって突き当りの位置に次の外湯が見えてきた。二つ目は滝の湯である。

 

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 こちらでも寸志を収めて着替え、入浴。内装はタイル張りで銭湯めいている。湯船の奥ではお湯が滝のように落とされていた。

 ここは青緑がかったお湯が特徴的で、湯中には黒い湯の花もちらほら舞っている。浴感含め他のお湯とはかなり違った印象を受けた。硫黄臭はハッキリと存在している。この時の湯温は大湯のぬる湯に比べるとぬるめ*3。他に人も来ず、じっくり浸かれた。

 入浴後は麻釜の横を南下。この辺りが野沢温泉の観光的な中心のようで、夜も開いているお店を複数見掛けた。平日ながら客が入っており、中々に繁盛している。途中タオルを落としつつ坂を進み、下りきったところで次の外湯へ。今度は麻釜の湯である。

 

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 内部はコンクリとモルタルで構成されたシックな造り。例に漏れず脱衣場直結の湯船がデンと構えられている。麻釜の湯の名の通り、真上の麻釜からお湯を引いているらしく、お湯もかなり熱い。ここでも一人だったのでホースから水を流して冷ます。しばらく待つと何とか入れるようなった。シンプルな透明の湯で、やや引っ掛かるような浴感があった。やはり硫黄は香る。

 入浴後はまた西の方へ。川を越えて向かう。坂の下の分かりづらい位置に建物があり、少々迷ってしまった。上下に行ったり来たりしながら真湯へ到達。

 

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 他に比べやや浴室の幅が狭く、縦に高い造りである。湯口には花が添えられていた。室内には今までより格段に強い硫黄臭が漂っている。お湯は白くやや濁っており、大湯のあつ湯並みの激熱湯であった。

 何よりも印象に残るのは圧倒的な湯の花量である。流石に熱いので水で埋めていた所、水を入れたそばから大量の黒い湯の花が巻き上がる光景が見られ、思わず興奮してしまった。入れるほどに冷ますとお湯は強く白濁し、湯の花と併せて何とも面白い光景である。湯船に入ってみると湯の花は舞い上がり、消しカスめいて散らばっていく。浴感もスベスベで気持ちよく、五感を通して楽しめた。

 ありがたいことに始終一人。30分ほど入浴した。温まりが強く、少しのぼせてしまったが、湯上りに歩くとサッパリできた。多少は洗って落としたとはいえ湯の花の一部はまだ残っており、全身からの硫黄臭と併せて浴後もお湯の感触が続いていく。とても素晴らしいお湯だった。

 

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 出た頃には入浴終了10分前となっていたため帰還。23時とかなり遅い時間ながらまだ空いている飯屋や飲み屋はあり、つくづく便利な温泉街である。宿に戻った後は新潟で買った酒とコーラで晩酌。

 

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 丁度明石家サンタが放映されており、だらだら見ながら飲み食いした。途中の初詣CMで諏訪大社が登場、やや興奮。気付いた頃には2時を回っていたので慌てて就寝。

 以下は野沢温泉街の諸々。

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木製マンホール?

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妙に高値のレッドブル
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*1:野沢温泉村はもう信濃ではあるが...

*2:42,3℃はあったと思う

*3:それでも体感42℃弱くらい