2019秋京都・四日目

下鴨・朝

 前夜の飲酒の後、MtGAなどやっているうちに寝落ち。およそ旅行に似つかわしくないやらかしを経て5時に目覚め、二度寝の後再び寝坊して7時過ぎに起床。同行者を起こして朝の散歩に向かった。

 宿からは鴨川沿いに北上していく。叡電の音を横に聞きつつ、警察署の前を通り過ぎた所で左折。木々を抜けると下鴨神社の社叢、糺の森に差し掛かる。

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 神社から流れ込む清水が脇を流れ、厳かで心地よい雰囲気の道。遠くの社殿を見通せるほどまっすぐに伸びている。馬場としても使われているとか。

 この日は程よく晴れており、朝の散歩には最適な環境であった。寝坊したのでラジオ体操には間に合わず。

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 しばらく歩くと朱塗りの鳥居が近づいてくる。去年の台風の傷跡はほとんどが直されていたが、鳥居左横の御神木は折れたままで、被害の激しさを物語っている。

 鳥居右横の手水場で手を清めてから進み、これまた朱塗りの楼門を潜って参拝。本殿と干支の神様の摂社それぞれに手を合わせた。本殿の特別拝観も気になるが、時間を考えてスルー、ということを参拝の度にやっている気がする。

 

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 本殿参拝の後は御手洗社へ。毎年御手洗祭でお世話になっている。当然ながら御手洗池には入れず、手水で手のみを清めることとした。霜月の水は目が覚めるほどに冷たく、何故祭が夏に行われるのか身をもって知ることとなった。

 参拝の後は来た道を戻り、デルタ方面へ向かう。道中で朝飯や予定等相談しつつ進んだ。下鴨にマンションが出来ているらしい、さてそんなブルジョワはどこだ、という話をしているうちに当のマンションに突入する事故もあった。マンションという語から想像するほどの高さは無く、格調高く落ち着いた建物であった。流石は高級住宅街。

 

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 半日ぶりのデルタを過ぎ、対岸の出町柳商店街方面へ進む。少し北上して喫茶店へ。日曜の朝ながら繁盛しており、店内は我々二人が入って満席となった。二人分の朝食を頼んで待つ。

 

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 コーヒーハウスマキ、その名物である(らしい)モーニングセット。分厚いバタートーストと、くり抜いた耳に付け合わせが溢れんばかりに詰まっている。どれも標準を少し超える大満足のボリュームで、味も確か。少し待ったためか、熱々&カリカリ&フワフワの理想的なトーストであった。これでお値段680円、京都の朝にしてはお値打ち価格だろう。珈琲も美味しかった。違いの分かる舌ではないが...

 食後は鴨川を渡って宿へ。荷物を纏めてチェックアウト。

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叡電近くの良い宿でした

 

大原

 同行者との相談により、今回の旅行はなるべく洛中から離れて動くと決めていた。二日目の今日は北東のはずれ、大原へ向かう。

 前回旅行時は叡電とバスを乗り継いだが、今回はバスで直接向かう。出町柳駅前のバス停から乗り込み、40分ほど揺られて大原バスターミナルへ。

 日曜ということもあり、バスターミナルにはそこそこの人出。しかし歩くと次第にまばらになってきた。三千院へ向かう。

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しば漬けに支配されている

 途中で大原の景色に関する看板を見つけた。辺りは少し開けていて、畑と山が見渡せる。まるで京都らしからぬ景色である。

 そのまま漬物屋が並ぶ小径を抜けていく。脇には小川が流れており、並木の下で音を立てている。来る度に店頭のキュウリ一本漬けに惹かれ、250円の値札を見て覚める。少し進むと開けた交差点に出る。

 

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 観光バスで来ているのか、この辺りまで来るとやや混む。塀を伝って歩くと三千院の門が見えてきた。

 

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良し悪しは分からないが、確実に強い

 入り口からしばらくは建物が連なる。この日は内部で華道の展示会が行われていた。

 

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 しばらくすると内庭が見える。苔の緑が支配的な落ち着いた庭。いくらかのお布施でお茶も頂けるらしいが、今回はパス。建物を進み、御本尊を拝んで外へ。

 

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フォトジェニックお手洗い

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 広い境内には木が立ち並び、紅葉と落ち葉の季節にはそれはもう美しくなると聞く。今回は微妙に早い時期だったが、涼しい大原の地であるためか微妙に色づいていた。天気も良いので眺めが良い。とはいえ永観堂のような華やかさは薄く、足元の苔も相まって静かな環境である。

 

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 少し歩くと、境内中央の往生極楽院が見えてくる。特徴的な屋根と孤立した佇まいには独特の存在感があった。外からでも目立つ阿弥陀様の像は、中に入ると圧迫感を感じる程大きく見える。

 お堂の中では丁度説明が行われていたので拝聴した。曰く、完成時は内部が極彩色に彩られていたとのこと。僅かに残る痕跡を懐中電灯で見せてくれた。当時は戸を閉じると完全に光が遮られる構造で、暗闇の中ろうそく一本で浄土の様子を見たという説明が印象深い。

 

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 参拝後は順路に沿って北側へ。池の脇にはわらべ地蔵が。苔と調和している。年月がこうさせたのかと思ったが、どうも割と最近に作られたものらしい。

 

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 少し進むと鳥居と弁天様の社があった。しかし祀られているのは稲荷の宇賀神である。本当に最初から弁天様だったのだろうか。

 境内の高い所には不動堂がある。ここは平成に入ってからの建立。しかし本尊の不動明王像は平安初期のものとのこと。天台宗らしく秘仏とされている。参拝。

 周りには休憩所などが並んでおり、京都の寺らしいお土産攻勢を仕掛けてくる。つい乗せられてしそ茶を買ってしまった。

 その後、庭園などうろついてから外に出る。寺の境内ながら、広い上に高低差も川もある中々アグレッシブなお庭だった。

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由緒正しいいけず石

再び来た道を戻り、しそソフトを食べ、バスターミナルを通り過ぎて反対側の寂光院へ向かう。

 

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 寂光院は奥まった所にあり、道中は田畑が多い。人家もまばらで、長閑な風景が続く。知らずに見て多摩の山中と言われても納得してしまうだろう。しかし謂れを示す碑はちょくちょく出てくる。

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 皇族ゆかりの地であることを感じつつ進むと行き止まりに到達。右手側には寂光院の山門がある。拝観料を払い、階段を登って本堂へ。

 

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 建礼門院隠棲の地であることも納得な、山中の小さなお寺である。しかし由緒は古く聖徳太子の頃にまで遡る。当然ながら比叡山の影響下であり、ここも天台宗。個人的には二度目の参拝。

 本来なら境内で色々と説明を聞けるのだが、時間が押していたので参拝のみに留める。小規模ながら池もあり、まとまりのある風景だった。

 

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まつ毛パッチリ

 来た道を戻ってバスターミナルへ。本当は大原-鞍馬の便に乗りたかったが、年一本しかないので大原-貴船のバスから叡電へと乗り継ぐ。

 途中、静原西陣織ネクタイ団地前というバス停を通った。西陣織ネクタイ協同組合というピンポイントな法人の団地があるらしいが、何故このような山中に......?近くには宮大工の工房もあり、ちょっと面白そうな界隈である。

 

鞍馬~貴船

 

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 そうこうしているうちに貴船着。叡電に乗り換えて鞍馬駅へ。駅前に降りると新旧天狗がそろい踏みだった。一度鼻の折れた旧天狗は引退予定とのことで、貴重なツーショットとなった。

 

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 門前の街を歩いていくと鞍馬寺の階段下へ出る。入山料を払って境内へ、グングン階段を登る。

 

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 ここには何度も参拝しているが、ケーブルカーを使うのは初めてである。イカした名前の車両に乗って上へ。鞍馬山鋼索鉄道という立派な名前がついた鉄道、全国で最短かつ唯一の宗教法人による鉄道だとか。車内では弘教の宇宙的な教えが説かれていた。

 

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 ケーブルカーからは少し歩く。未だ倒木は多い。なぎ倒された山肌を横目に歩くと参道に合流、少し上がって休憩所へ。軽食が売られていたので頂く。ここからは長丁場である。

 

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 参道を上がって本堂へ。宇宙的にパワーがあって凄いらしい。反対側の山々を眺めた後は本堂裏、奥の院の道へ。昨年は台風の影響で封鎖されていたが、この時は無事に通行可能。同行者は杖も借りて万全の態勢、いざ登る。

 

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 道中には博物館もあったが今回はスルー。

 

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金属も曲げる

 台風の爪痕はここまでに輪を掛けて酷く、深刻なダメージを受けた標識類が散見された。木の根道を抜けた先の大杉権現社は御神木や拝殿ごと壊滅し、手水などの残骸のみ残されていた。自然の中にある寺社を好んで参拝する身としては、管理の大変さは察するにあまりある。頭が上がらない。跡地や不動堂・魔王殿を参拝しつつ山の参道を進む。

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魔王殿

 下りに差し掛かってしばらくすると水の音が聞こえてくる。さらに下がると川、そして貴船の道が見えてきた。降りきってから杖を返し、貴船神社へと向かう。

 

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 最盛期ほどではないが、色づいた木々は美しい。時刻は4時ごろ、街灯は僅かに灯り、丁度いい暖色で道と木を照らしていた。鞍馬に比べるとかなり人出が多く、人気の程を感じさせる。和泉式部の所為でカップルも多い。

 

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 かの有名な参道をあがって貴船神社の境内へ。同行者が興味を示したので水みくじを頂いて浮かべてみた。QRコード式多言語対応も備えた先進的なおみくじである。Free Wi-Fiも飛んでいるし、各種SNSをバリバリに活用しているし、時代に適応した強い神社である。

 

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 カップルの後に並んで男二人、厳かに参拝して四阿へ。貴船川を眺めながら休憩。出発する頃には日がだいぶ落ちており、参道がより幻想的にライトアップされていた。

 

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水面には灯篭

 

補給と銭湯

 まだまだ青いながらもライトアップされた木々を見ながら駅へ。叡電へ乗り、紅葉のトンネルを通って洛中へ戻る。一乗寺に惹かれながらもここはスルー、元田中で降りてとんかつ屋へ。

 

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 夕食はおくだで頂いた。昔誰かに勧められたという不確かな情報源だったが、確かに美味しかった。辛子が妙に合う。誰か氏に感謝。

 少し歩いてリカーマウンテンに寄り燃料補充。またもや歩いて出町柳駅へ、そこからバスで一気に西陣へと向かう。千本通から複雑な路地を抜けて今夜のゲストハウスに到着。ゲストハウスながら個室が借りられ、鍵もちゃんとかけられた。荷物を置いて一息つく。

 

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 しばし休憩の後に、宿で入浴セットを借りて近くの銭湯へ。かなり近代的なフロント式で、ロビー椅子やテレビもあり、飲料も充実していた。更衣室も広くて開放的。内部は京都の銭湯らしくバリエーション豊かでサウナもある。龍宮温泉という屋号らしく、タイルの一部にお魚が鎮座していたことが印象的。

 入浴後は同行者に少し遅れて出た。牛乳を飲んでから外へ。この季節だと入浴後の散歩が気持ちいい。道中コンビニで唐揚げ棒と追加の燃料を買って宿へ。

 到着してさあ給油、というところで入浴セットを置き忘れたことに気づく。急いで銭湯を往復し、番頭のおばちゃんに謝って回収、宿に戻って仕切り直した。

 

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燃料類

 給油後は前夜の反省を活かし早めに就寝。6時半起床を目指す。

 

五日目へ続く。