2019秋京都・三日目

二日目はこちら

 

朝散歩

 5時半に一旦目が覚め、二度寝の後7時起床。30分ほどして外に出る。

 友人とは9時に京都駅で合流予定、そこまでしばし散歩。四条~三条通の間を蛇行しながら東へ向かう。この辺は雑居ビルも多く、一目では京都と分からない風景が広がっている。しかしお地蔵様の祠は定期的に現れる。

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体育振興会という組織が町ごとにあるらしい

 合流の他に、もう一つこの近辺に向かう目的がある。母方の大叔父*1が昔近くに住んでいたらしく、痕跡の調査を頼まれていた。聞いた情報は町名と名前と辺りの様子のみ。探し回ったが、どうも見つからない。写真を送ったが該当しないとのこと。同町名の掲示板だけ見つけて調査を終了した。

 

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誉田家源兵衛株式会社、着物帯の製造販売を行っているらしい

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旧明倫小学校、今は芸術センターとして利用

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四条烏丸近辺のビルの狭間、謎オアシス的空間

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因幡薬師堂(平等寺)

 

 その後は烏丸通の周りを南下していく。景観条例ギリギリのデカいビルから古寺や古い家まで様々な建物が並ぶ。色々と気になるものを見ることが出来た。

 

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 やがて東本願寺へ到着。相変わらず規模が大きい。境内を眺めると、全国津々浦々から寄贈が行われていると分かる。浄土真宗ネットワークは強固である。奉納用の木を切り出す時に雪崩に巻き込まれた、という事件の模型も奉納されていた。

 

 参拝の後、京都駅へ向かう。

 

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 京都駅で友人と合流。この日は東山中心に回ると方針を決め、地下鉄に乗り込んで蹴上へ向かう。

 

古寺の紅葉

 蹴上駅で降り、まずは南下してねじりまんぼを通る。一旦上へ登り、インクラインを通って再び北上。

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 桜の時期には人で埋められるこの坂も、葉が散った秋には閑散としている。思わず駆け下りたくなるほどの直線。自前のトロッコを持ち込めば走れたりしないだろうか。

 

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 インクラインを下りきった先には、琵琶湖疎水が勢いよく流れ込んでいる。陸路はここまで。一度道路まで上がり、山の方へ歩く。

 

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セーブポイント一号



 周辺には高級料亭や別荘がいくつも立ち並ぶ。悲しいことにどれも縁がない。店頭のお品書きに驚嘆したり、外から見える紅葉を拝んだりと、友人ともども庶民性が隠し切れない。そぞろ歩く観光客に混ざりながら進む。

 しばらく歩くと小さな門があり、抜けて歩くと巨大な三門が見えてくる。毎度お馴染み、南禅寺である。

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 ここはいつ来てもデカくて眺めが良い。しかも四季の花まで備えているのだから完璧である。禅寺らしい巨大な建築物と、それに負けないほど壮大な木々が楽しめる。

 紅葉の名所とあって人も多かったが、早めの時間故か苦労するほどの混雑では無かった。自由に境内をうろつく。

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 本堂に参拝した後、水路閣へ。先ほどと同じ源流の疎水が上を流れている。

 開通当時はさぞピカピカの煉瓦色だったのだろう。百年以上の時を経た今ではもうくすんでいる。しかし境内という立地においては、こちらの方がふさわしい色であるようにも思える。

 

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 少し戻って三門に登る。石川五右衛門も絶賛した*2、素晴らしい眺めである。大きな三門とは言え、山に比べれば水平に近い眺め。それでも御所は良く目立つ。

 

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無料で見られるゾーンですらこの大盤振る舞い

 参拝後は外に出て進む。高校やチェリオの話などしながら歩く。

 しばらくすると、塀を越えて伸びた紅葉が目に入った。向こうにあるのは、一昨年の訪問で強烈な紅葉を見せつけられた名刹・もみじの永観堂である。しかし今回は時間的余裕が微妙な上にやや拝観料もお高め。参拝の是非を相談したが、やはりこの絢爛さには敵わない。吸い込まれるように拝観受付へ向かった。

 

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 前回訪問時は11月後半であったため、葉はほとんど赤に染まっていた。今回はまだ紅葉初め、全視界真っ赤とはならない。同じ木であっても各所で異なる色合いを見せている。緑から黄を経て赤に至るグラデーションは、赤一色とはまた異なる動的な美しさがあった。

 幸いなことに、旬真っただ中の前回ほど殺人的な混み具合では無かった。詰まらずに進めるのは有難い。

 

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 永観堂禅林寺の堂宇は、それぞれが繋がった細長い構造となっている。数々の仏画・仏像と、随所を彩る紅葉を眺めながら進んでいく。内庭に立つもみじ、岩壁を這う様に彩るもみじなど見所豊富で飽きない。

 釈迦堂、御影堂を抜けて歩くと阿弥陀堂へ到達。ここには御本尊のみかえり阿弥陀が鎮座されている。みかえりを存分に確かめられるよう、向かって右側に賽銭箱が設置されているのが特徴的。参拝して先に進んだ。

 

 堂宇を抜けると寺域の南端に達する。階段を降りていくと再び道が現れ、いくつかに分岐している。まずは東側、多宝塔方面へ。

 

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 木の下には苔の絨毯が出来ている。もう少し経てば、ここも赤一色になるのだろう。

 先ほどの岩壁もみじを横に見つつ階段を登っていく。息が切れるころには多宝塔が見えてくる。

 

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 塔の足元にはベンチが置かれており、眺めを楽しむことが出来る。寺域を覆いつくす紅葉と京都市街が繋がって見えてくる。雲一つない快晴も手伝って、恐ろしく広々とした眺めになっていた。

 

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 来た道を戻り、今度は分岐を南側に進む。橋にさしかかると大きな池が見えてきた。有り余る紅葉と背後の東山が鮮やかに映し出されている。

 

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 時刻は既に13時前。軽い昼食も兼ねて、境内の茶処で団子を頂いた。サービスで茶もついてくる。池からほど近い場所に席があり、始終良い眺めであった。

 

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 しばし休憩の後、出口へ向かう。池から流れる小川、小屋からの池全景と矢継ぎ早に見所が訪れる。その全てを紅葉が彩っていた。

 

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疎水の道

 外に出てからは東側へ坂を登る。数々の寺社に挟まれた閑静な住宅街が広がっている。坂を登りきると神社の幟が見えてきた。

 

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 熊野若王子神社。熊野詣の始点として知られ、京都三熊野社の一つに数えられる。今回は熊野を逆順に詣でたことになるだろうか。

 御神木の梛が有名で、「全ての苦難をなぎ倒す」という力強い信仰がある。私も以前便意に襲われた際、ここの社務所に助けて頂いた。以来来る度に梛守を更新し続けている。友人にも熱烈推薦。

 

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 若王子神社哲学の道の南端に位置する。参拝後、琵琶湖疎水に沿って道を北上していく。

 始まってすぐの地点によくネコチャンがいるのだが、残念ながらこの日は見られなかった。生き物自体は多く、うろつく鴨や魚を水面に見ることが出来た。

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 しばらく水辺を歩く。紅葉スポットが多い訳でもないが、そこそこの人出はある。とはいえ町も人も静か。お日柄もよく、話しながら緩やかに進んでいく。

 ややあって分岐と看板が見える。東に進み、少し坂を登ると鳥居が見えてきた。大豊神社である。

 

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 境内入ってすぐに神楽殿が見える。奥の階段を登ると本殿があり、スクナビコナがお祀りされている。摂社が有名で、狛犬代わりに狛蛇や狛猿、そして前述した狛鼠など置かれているのが特徴的。スクナビコナを祀る神社らしく、摂社には大国主社があり、そこの神使として鼠、といった由縁がある。参拝して回った。

 境内は植木が多い。春の枝垂れ桜や椿が特に綺麗だが、この時期は枯れ木が目立つ。

 

 参拝の後は再び哲学の道へ。

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哲学の道名物・手動自販機

 少し歩くとまたもや寺社が現れる。再度東側へ登り、法然院へ。

 

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 名前から分かるように浄土宗の寺院。今は独立宗教法人になっているらしい。

 山門をくぐると道と白砂が見えてくる。木が生い茂り、静粛な雰囲気。右側には講堂があり、現代アートの個展が行われていた。拝見したが、ちょっとよく分からなかった。

 奥に進んで本殿へ。内部非公開だったので外から拝み、境内を見て回る。各所に様々なイベントの告知があり、特に芸術関係のものが目立つ。住職の方がそちらに造詣が深いとのこと。新しいものも数多いが、江戸以来の蔵などを経たものも多く、不思議と調和している。

 

 哲学の道へは戻らず、山に沿って進む。住宅街を歩くと急に賑わいのある一角へ出た。右を見るとかの有名な慈照寺銀閣が。

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 参拝の前に、まず門前のうどん屋に入った。時刻は15時前、実質おやつである。湯葉と天ぷらの相性が抜群に良いという新たな発見があった。うどんものど越しなめらかで、シンプルに美味しい。

 腹を満たして参拝へ。

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銀閣プリン

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 永観堂と同様に、池を活かした造りの庭園である。先ほどの華やかな風景とは正反対に落ち着いたものである。時が止まったかのような幽玄な風景がある。一人で見られたら嬉しいだろうと思うが、ここはいつ来ても混雑している。金閣に比べればマシ。

 

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 ここにも高台がある。前にブラタモリで、前後の東山と吉田山が断層によって生まれたと話していた気がする。タモリと同視点で辺りを眺める。

 寺を出て銀閣寺参道の坂を下りていく。沿道には冷凍果物にタピオカなど、意外と俗っぽい土産物屋が並ぶ。ラーメン屋もあった。今度来るときの昼食候補だが、やや割高なのが気になる。観光地価格からは逃れられない。

 先ほどの哲学の道始点へ戻り、銀閣寺道バス停でバスに乗り込む。しばらくしてから降り、鴨川沿いの宿に着弾。予約確認で少し手間取ったが、無事に手続きを終えて部屋へ。

 

ジャンキー京都

 充電や荷物整理をしつつ休憩。夕食の算段を立てる。1時間ほど経ってから出発、ラーメン激戦区の一乗寺へと進軍する。駅から10分ほど歩いて目当ての店へ。

 

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 極鶏。ここに来るのは2度目である。相変わらずながら外には行列。

 とんでもなく濃い鳥白湯ラーメンが売りの店。蓮華を置いても沈まないほどに半固形のスープが待ち構えている。店名に偽りなし。

 今回辛味入りの赤だくを頼んでみた。見た目ほど辛くはなく、アクセント程度の味わい。ご飯との相性は抜群で、クリームシチューの様な触感が楽しい。味はガツンと鶏味。鶏ガラをそのまま食べているかのような強い鶏の風味を感じる。見た目に反し、臭みが無いのは不思議な所。リピーターが続出するのも納得の味。

 食後は来た道を戻り、道沿いにある恵文社へ向かった。文芸と趣味に関して幅広いラインナップが特徴的で、本以外の小物も扱われている。見て回りつつ、友人と近代文学のコーナーで論議などした。自分からは寺田寅彦を勧めたが、最終的には自分用に買ってしまった。

 

 一乗寺から宿方面へ戻る。途中元田中で下車、しののめ湯へ向かう。入浴料と石鹸代を払って入室。京都の銭湯としてはスタンダードな構成で、サウナ・水風呂・薬湯・泡風呂・電気風呂など完備している。カランが中央にある配置は京都にしてはレアか。湯船を巡りつつ体を温めた。湯上りには珈琲牛乳を飲む。友人はフルーツ系の飲料を飲んでいたと思う。

 銭湯から歩いていると、リカーマウンテンが目に入った。これ幸いとチューハイその他をしこたま買い込み、宿に戻る。

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 再び宿で休憩した後、酒を持って鴨川デルタへ向かう。地べたに座り込んで友人とアウトドア飲酒を敢行。

 近くからはギターの練習や、グリークラブらしき方々の歌練習が聞こえてくる。目の前の賀茂大橋にはひっきりなしにバスが通る。眺めながら近況・明日の予定・推薦合戦など話していた。最終的に椎名林檎を勧められ、Spotifyで流しながら感想を述べ合うこととなった。川の音や街の明かりも程よく、飲み場としては丁度よかったと思う。尻に土草が付くのは難点か。

 酒と環境で会話が進み、気が付けば23時。飛び石を渡ってファミマへ向かい、酒の補充を企んだが、明日に響くということで撤退を決断。足取りが怪しいまま再び飛び石を渡って戻る。

 旅行の写真をまとめつつ、間近に叡電の音を聞きながら就寝準備。叡電の終電も過ぎた頃には作業を終え就寝。 

 四日目に続く。

*1:物心ついた頃には亡くなっていた

*2:ただし元ネタは桜景色