冬の上州旅行2017・1日目

 2017年12月22日、コミケ前のこの時期に、私は5回分の18きっぷを抱えていた。

 2回分はコミケで知人に売ると決めていたので、残るは3回である。宿も取っていないので行ける場所は限られるだろう。冬だから温泉に行きたいと調べていた矢先、典型とも言える施設を見つけたので、翌日から出ることにした。

 

 朝3時に起床し、うねうね歩いて東京駅へ向かう。コンビニでお茶とグミを買ってから始発に乗り込み、高崎めがけて北上した。

 中央線や東海道線の時は多少の乗客がいたが、始発の上野東京ラインはほぼ無人であった。駅メモを嗜みつつゆっくりと進む。途中埼玉の駅で信号トラブルに遭い少し止まったが、ほどなくして運転が再開された。

 高崎到着後は上越線経由万座・鹿沢口行きの吾妻線に乗り換えた。渋川を過ぎると吾妻川が見えてくる。眺めながら進む。温泉の名を冠した駅名が矢継ぎ早に現れ、期待が徐々に高まってきた。景色には関係ないが13ペコを引くことも出来た。これは幸運の兆しだろう。

 

 目的地の長野原草津口駅に到着し、バスへと乗り継ぐ。少し進むと雪が徐々に増えてきた。山がちな地形を感じさせる。30分ほど乗って、バスセンターに到着。そのまま坂を下りていくと、徐々に硫黄のにおいがしてくる。匂いの下に辿り着けば、天下に名だたる名湯・草津温泉の湯畑がご登場だ。

 

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 写真で見るだけでも圧倒的な湯気の量である。えげつないほどの湯量で垂れ流されていた。温泉番付で必ず東の横綱に位置付けられるだけのことはある。

 温泉街に歓楽の色は無いが、健全に栄えている。落ち着いた雰囲気として纏まるような配慮がある。

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 コンビニも奥ゆかしい。

 また、他の所に比べると食事処や軽食屋が多い印象を受けた。

 湯畑から脇道に入るとすぐに古式ゆかしい宿が並ぶ。それと同時に共同浴場も多数見られた。温浴施設とは対照的な、こぢんまりとした佇まいが何とも素敵だ。

 

 とは言え私は泊まらないので温浴施設を利用させていただく。まずは大滝の湯へ向かった。

 草津の湯は源泉によって様々な泉質を持つ。ここが用いている源泉は比較的透明なお湯で、美肌に効能があるそうだ。しかしこの日は月に二度の配管掃除の日で、幸運なことに湯の花まみれの白濁湯を楽しむことが出来た。

 ここは内湯の大浴場・露天風呂と合わせ湯で構成されていた。特筆すべきは合わせ湯で、38~46℃の小さい浴槽を組み合わせた温泉となっている。草津の伝統的な入浴法らしい。

 私は熱いお湯が好きな方であるが、46℃は中々身に染みた。数秒も浸かっていられたか怪しい。他のお湯もめぐりながら出たり入ったりを繰り返していると、確かに身体の芯まで染み渡る。すぐそばに休憩用のスペースが用意されているのも嬉しい所。

 お湯の熱さもさることながら、泉質もとても尖っている。圧倒的な硫黄臭、刺すようなお湯と、鼻にも肌にも楽しい。泉質主義は伊達でない。

 大浴場と往復しつつ、記憶によれば1時間ほど浸かって出た。休憩室で珈琲牛乳を買って飲む。テレビで京都特集をやっていたのでついつい見入ってしまった。

 

 外に出ると雪が降っていた。晴れているのに。最高か?

 そのままうろついた後、白根神社に参拝した。

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 草津温泉開湯に由緒があるとのこと。

 高台に位置しており、境内からは温泉街が見える。どこも雪まみれであった。

 

 昼食はそばをいただいた。観光地価格であった。つい天ぷらを付けてしまったのでさらに財布に厳しい。とても美味しかったのでよしとしたい。

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 多少腹ごなしをした後、ここは誰でも入れる共同浴場である。当然洗剤の類は無い。これを見越して大滝の湯では念入りに洗ってきた。

 番頭すらなくロッカーから直温泉という武骨ぶりが光る。しかし源泉は湯畑のそれ、むせかえるほどの硫黄臭と白濁したお湯に胸が高鳴る。湯温はかなり高め。結構な混雑であり、芋のように洗われながら浸かった。

 お土産を物色した後バスセンターへ向かう。時間調整をミスして40分待ちとなった。

その間に次の予定を考える。川原湯温泉四万温泉、いっそ軽井沢から長野方面へなどと色々考えた末、伊香保温泉に行くことを決めた。

 直通のバスもあったが、時間の都合が合わない事、18きっぷを持っていることから渋川駅経由で行くこととした。バスと吾妻線を乗り継ぎ、一旦高崎問屋町で降りる。冬至に近いこともあり、18時前ながらもう日が落ちていた。見知らぬ街の日没後は若干の不安感を伴う。

 高崎の手前で降りたのには理由がある。群馬出身の友人が絶賛していたイタリアンの名店、シャンゴへ向かうためである。

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 頼んだのはシャンゴ風パスタである。ちょっと足りないかと思いサラダセットにしたが、全くの杞憂であった。圧倒的なボリュームと濃ゆい味わいがとても美味しい。デミグラスがここまで合うとは知らなかった。高崎に行く機会があればまた行きたい所である。

 

 渋川駅に辿り着くともう20時前だった。駅前には力の入ったイルミネーションが立ち並ぶ。その横で終バスを待ち、乗り込んで伊香保温泉へと向かう。

 30分程で温泉街に到着。既に外に人はいない。しかしながら立ち並ぶ建物はいかにも温泉街のそれである。有名な階段を降り、目的地へと向かう。

 山間の温泉街としては珍しく、伊香保温泉にはいわゆるスーパー銭湯的な施設がある。25kで温泉に入れる上、そのまま寝床になるのは非常にありがたい。

 黄金の湯という施設名の通り、大浴場の湯船の一つは黄金色の湯で満たされている。鉄分を含むとこうなるらしい。じっくり浸からせてもらった。

 翌朝は5時に出る必要があったので、早めに大広間に戻って寝た。寝る前には次の日の予定を色々と考えていた。榛名神社には確実に行きたいが、それだけでは時間が余るのである。ここで日光に行こうと欲を張ったことが、後に重大なミスとなった。

 二日目へ続く。