秋の京都旅行2017 3日目・その2

洛南を歩きます。

 

バスを降りると、辺りはよくある駅前の町のような風景だった。東山のきらびやかな観光地ぶりに比べ、京都駅より南ではいくらか生活感が増すように思える。

とはいえ随所に名所への案内が見られる。東福寺への道を示す板を見つけ、一安心してそちらへと向かう。

 

東福寺臨済宗の寺で、京都五山に数えられる。奈良の興福寺から名前を取ったそうだ。人が来るからと桜を切って紅葉を植えた所、後の世で人が押し寄せるようになった逸話は有名。

 

東福寺の紅葉公開は他の寺社に比べ早く、朝の八時半から行われている。事前に混むと聞いていたので急ぎ、八時には現地に着いていた。しかしその時間ですら甘く、拝観入り口には長蛇の列が出来ている。JR東海を憎みながら並んだ。

開いて10分が経つ頃には中に入れた。入った途端に息を呑む。視界前方下方のどこを見ても鮮やかな紅葉があった。大混雑のさなかであり、黒い頭が蠢いていたが、それを飲み込むかのように紅葉が広がっている。誰かが雲海の如しと例えていたのを思い出した。言い得て妙である。

 

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一通り歩いてから、開けた場所で休憩した。ついでに写真も撮った。

 

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開けた場所の隅の方、塊から離れた場所にも背の低い紅葉があった。密に綺麗に色づいている。

 

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通天橋の地上部分。端から端まで参拝者でぎっしり。

 

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その後、橋を渡って開山堂へ向かった。その名の通り、東福寺開山の聖一国師が祀られている。生前常住されていた(とされる)お堂も隣接している。庭が綺麗。

しばらく座って眺めた後、人の波にもまれつつ橋へと戻る。人と紅葉しかいない視界は極楽よりむしろ地獄めいている。紅葉は相変わらず綺麗である。このような日に快晴であったことは本当にありがたい。

 

しばらくすると、かの有名な通天橋に差し掛かる。端に寄って外を眺めると、これまた壮大な景色が広がっていた。なるほどこれは雲海である。

やはり皆撮りたがるのか、立ち止まっての撮影禁止ポスターがあちらこちらに張られていた。お寺の人も大変だなあと思いつつ橋を過ぎる。

紅葉拝観を抜けた後は本堂に参拝し、本坊へと向かった。こちらでも庭園を拝観させていただいた。何一つ知識が無いので、ただ石が並んでいるようにしか見えないのが申し訳ない。解説パンフレットを眺めながら分かった気になっていた。

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東庭。北斗七星を表しているらしい。上の庭園もそうだが、目に優しい色合いが長い間の拝見を許してくれるので有難い。紅葉の後にはちょうどいい。

 

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北庭。整った市松模様が美しい。

木の縁側に座る経験は中々ないだけに印象に残る。尻の冷たさが記憶に新しい。

 

その後、寺の裏にあった鎮守社へ向かう。五つの著名な神社を纏めて鎮守の神様として祀っているので五社成就宮、というらしい。祀り方が随分大らかである。

再び本堂に戻って再度礼の報告をし、境内を出る。南へ向かって少し歩く。

この辺りにはいかにも観光地然とした風景は無い。寺社を離れると、古びたガラス戸に味のある商品が並ぶような商店が軒を連ねている。しかしやはり京都なので、稲荷大社の正月バイト募集が張り出されたりしている。見かけるたびにテンションが上がる。

 

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この旅行で初のチェリオ自販機。見つけた時は舞い上がった。

 

ガシガシ歩いて辿り着いたのは伏見稲荷大社である。昼の時間は今まで意図的に避けてきたが、いざ来てみると凄い人出である。

京都の観光地の中でも、ここと金閣寺はずば抜けてグローバルであるように感じる。英語と中国語とその他何らかの言語が飛び交っている。訪日旅行客人気No.1は伊達ではない。いろいろな国の人が手を合わせているのは何だか良い風景である。

並んで手を合わせた後、千本鳥居へと向かう。更に人口密度が凄い。

 

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そこから奥社奉拝所、熊鷹社、四ツ辻と上がる。上がるにつれて人が減ってくる。それと共にお塚や小さな社も増えてくる。密度の高い信仰を今日拝めるというのは大変ありがたいことである。この季節だと暑さもなく、するすると上がっていける。もちろん道中拝みながらではあるが。

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四ツ辻に着いたところで景色を眺めながら休憩。ここから一の峰にお参りする時間と体力は無く、さりとて人の波に突っ込んで降りるのも億劫である。そこで御幸奉拝所方面から東福寺に降りることを思い立ち、ずんずん進んでいった。

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こちらは人も鳥居も少ない土の道であり、どことなく心細い。しばらく行くと御幸奉拝所に差し掛かる。ここに来たのは初めてではない。前年の宵宮祭りの祭、同様に千本鳥居を避けて帰ろうとし、こちらの道に迷い込んだ折に訪れていた。闇夜で見るこの三像とどこか分からない場所に続く鳥居は大変恐ろしく思われ、一目散に来た道を逃げ戻った記憶がある。再度この地を拝めたのはありがたいことだが、思わず不思議体験の種明かしを受けることとなり、少々残念だった。

 

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山道とはいえ車が入れるように舗装されており、楽に歩くことが出来た。道中京都一周トレイルの表示を見かけ、範囲の広さに驚いた。このまま進めば東福寺、さらに進めば清水寺であるが、流石にやらなかった。しばらくすると東福寺の閑静な住宅街へと出る。その後はGoogle先生を頼りに駅まで進み、京阪に乗った。途中三条で乗り換え、目指すのは蹴上である。

 

その3へ続く。