秋の京都旅行2017 1日目・その3

その3です。まだ1日目です。

底辺撮影技術・拙い文章ですがご容赦ください。

 

坂を下りた後は大原をブラブラ歩く。少し参道を外れれば、何の変哲もない閑静な住宅街である。そこでも道すがらにもみじがあり、季節を否応にでも感じさせる。しばらく歩いていると、神社の幟が見えた。少し道を外れてそちらに向かう。

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出世稲荷神社

 かつては洛中、千本二条に鎮座ましましていた神社である。建物の老朽化や、氏子の減少などの理由から平成24年に移転してきたそうだ。二重狛犬はその影響によるものだろうか。

 洛中にある方の名前は知っていたので、訪れた際には別社か何かかな、と考えていたが、後で調べて移転の事実を知った。御神体や雲竜図、由緒の額などは別の建物にしっかり移されていたので、拝ませていただいた。こちらに移ってから年は浅いものの、鳥居が複数奉納されており、信仰の根付きを感じた。

 また、とても綺麗なもみじの木が植わっていた。秋に包囲されている。

 

 大原の里は山間にあるので、斜面を下れば里に出るということが分かりやすくてよい。坂を下って道路沿いに出た後、今度は道路を渡って寂光院へ向かう。

 寂光院への道には、三千院のような賑わいのある参道は見られない。田畑の横を過ぎ、家々の間を通り、人々の生活をくぐりぬける道である。牛乳販売所の看板がかかっていたり、日焼けしたスジャータの張り紙があったり、荷物を載せた自転車が通りすがったりと、なんとも生活感の溢れる場所であった。それ故に、道中何度も道を間違えていないかどうか不安になった。田畑は休耕期であったが、普段は何が育てられているのだろうか。

 少し進むと案内板も増え、道端に喫茶店のようなお店がちらほら現れた。蜂蜜や七味やケーキと誘惑が強いが何とか抜ける。最も奥まった場所に辿り着くと、そこが寂光院であった。

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寂光院

 天台宗の尼寺。聖徳太子が建立されたと伝わっている寺で、壇ノ浦の戦いから落ち延びた建礼門院徳子が隠居したことで有名。隠遁の地らしく、ひっそりとたたずむ寺である。

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本堂。中には御本尊を始めとした三体の像が置かれている。中で住職による寂光院の説明を拝聴することが出来る。縁起はもちろん、歴史や物語での言及、文化など様々な事を聞ける。話によれば、大原女や柴漬けの由来がこの寺にあるらしい。建礼門院に仕える阿波内侍がお洒落好きだったとか。

住職のお話を聞いた後は、偶然近くにいた観光タクシーの運転手による解説をこっそり聞いた。話が上手いしタメになるのは流石にプロである。次はお金を払って聞きたい。

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本堂を覆うように背後に紅葉がある。絵にも言われぬ美しさであった。

 

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筧はいいぞ。(二度目)

 

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どうやらお地蔵様をルーターにする時代が来ていたようだ。

一通り見て回った後、元の道をたどってバス停に戻った。帰りは不安を催さなかった。

時刻は4時半を回り、冷え込みが一段と厳しくなっていた。ホット紅茶を飲みつつ耐え、バスに乗り込む。

バスを降りた後、駅に向かう。この後一乗寺方面へ下り、飯を食って宿に戻る...はずだった。

 チラっと瑠璃光院テントを見る。人がいない。近づいてみる。受付の人はいる。話を聞く。もうこちらでは列形成していないという。しかし夜間拝観は行われているらしい。しかも今年から始まったとか。

 これを好機と言わずに何というのか。整理券を貰ってしまった。貰ってしまったからには行かないわけにはいかないので、近くの美術館で少し過ごしてから集合場所へ向かう。

 整理券は出ていたものの、門前には列ができていたし、途中で小雨もちらほら降ってきた。何とか耐えて進む。

 

・瑠璃光院

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寺の管轄ではあるが、ぶっちゃけて言うと庭付き別荘である。今の形になったのは大正の頃。当時の数寄屋造りをよく残しているそうだが、暗くて見えなかった。無念。現在ではインスタ映えスポットとして有名、というかググるとその手の話がほとんどである。何だかなあ。とはいえこのように写真を上げているので、人のことは言えないだろう。

 

 建物に入ると写経用紙を頂ける。途中に写経スペースがあるので、そちらで写経ができるようになっていた。お香が焚かれていたり、仏教精神の解説が貼ってあったりと仏教に親しんでもらう努力が随所に見られた。もちろん仏像も安置されており、拝ませていただいた。

 途中で寺務所のような販売所があったので、お土産に八瀬氷室(大納言)というお菓子を買った。このお菓子、持ち帰って食べてみると、今までで屈指の美味しさを誇るお菓子であった。寒天で固められた餡子の周りを薄い氷砂糖状水あめでコーティングした生菓子である。かつて八瀬に存在した氷室に見立て、氷のような水あめから中の餡子が透けて見える涼しげな見た目をしている。肝心の味はというと、外側のシャリシャリとした味わい、中の小豆の確かな触感、ホロホロとした舌ざわり、控え目でやわらかな甘みと無限に食べられそうなお菓子だった。どうも瑠璃光院でしか売っていないようなので、また訪れた際には買いたいものである。

 

中をぐるぐる回ったのちに、開けた書院からもみじが見えてくる。

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開放感のある書院から見えるもみじは何とも美しい。よく磨かれた机や床に映りこむ紅葉など絶景である。人がたくさん来るものだから、ゆっくり見られないのが誠に残念である。

 瑠璃光院の本気は昼間にあるそうなので、いずれまた見に来たいものである。新緑の青もみじも非常に美しいそうだ。

 お茶が出ていたので頂いてしばし休憩、終わったのちに駅に向かう。この時時刻は大体19時。飯を食って宿に行くにも中途半端だろうか。

 

...

...そういえば貴船神社もライトアップしていたっけな?

 

というわけで叡電に乗り込んで再び宝ヶ池で乗り換え、貴船再突撃と相成った。

運のいいことに再び展望列車・きららを引けたため、もみじのトンネルのライトアップをきららで見るという僥倖を享受することが出来た。端的に言って最高だった。

 

貴船口からはバスに乗り、そこから貴船神社まで歩く。雨が降っていたものの、中々の人出であった。

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朝と同様、大半は散ってしまっていたが、残った一部は綺麗にライトアップされていた。

坂を上り、貴船神社に参拝する。今日二度目なので何を報告したものか大いに迷う。人が少なかったので、ちょうど埋まっていた御朱印を新調する。

ライトアップを眺めながら下り、バスに乗って駅へ向かう。

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貴船口駅ホームの紅葉もなかなか綺麗だった。

この時は流石にきららではなかった。叡電にしばらく揺られた後、一乗寺駅で降りて夕食とする。

 

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・ラーメン池田屋 中ヤサイマシニンニク少な目 780YEN

紅葉にちなんで。ここには一度来たことがあったが、相変わらず美味しい。特に豚は絶品。麺もプリップリでよい。

腹を満たした後は出町柳まで下り、河原町今出川のバス停から宿へと向かった。うっかり寝過ごして終点まで行き、まばらな街灯・大暴れGPS・車道・民家無しという状況に置かれて死を覚悟した。何とかなったのでありがたい。泊まったのは安宿ではあるが、清潔な良い宿である。風呂に入って寝る。

 

これにて一日目終了。

二日目はもっと長くなります。

秋の京都旅行2017 1日目・その2

一ヶ月間が空きましたが、まだ一日目、11/22の記録です。

今回は八瀬・大原方面について。相変わらずのクソボケ写真・ヘタクソ日本語ですがご容赦ください。

 

 八瀬比叡山口駅で降りた後、瑠璃光院に向かった。春と秋のみ公開されており、大層綺麗な床紅葉が見られると評判である。期待しつつ向かうと、道中の駐車場に長蛇の列ができていた。その正体は拝観券の販売テントであった。阿呆なことに気づかずこれをスルーし、現地に行って戻ってくることとなった。列の長さは変わっていなかったが、それでも一時間待ちである。今後の予定が圧迫されることも考え、あえなく断念。

 とはいえ行かないとなれば時間が余るので、少々散歩に出る。

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・八瀬もみじの小径

  300mほどの遊歩道の両脇にもみじがギッチリと生えており、歩いて楽しい道である。すぐ下を流れる川の音が聞こえるのもよい。明治期の遺産などもあり、15分ほどで歩けることから乗り継ぎの暇つぶしにはピッタリだろう。

 

 ひとしきり回った後にバス停に向かう。流石に紅葉の時期なだけあって、平日でも人が大勢いた。

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山も綺麗に色づいている。

大原行のバスに乗り、15分ほど揺られていた。かなり奥まったところではあるが、意外と人家が多かった。歴史の古さは伊達ではない。

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 しかし、この風景を見て京都だと即断できる人はいるのだろうか。

 

 外を眺めているうちに大原着。古くから隠遁の地として知られ、静かで物寂しい雰囲気が漂う。市街地のように、人でごった返すこともない。山の間にあるためか空気がひんやりとしていることも、雰囲気の演出に一役買っている。夏はさぞかし過ごしやすいだろう。この時は少し寒かった。

 バスを降りた後は三千院へと向かった。ここはやはり有名なようで、道中に土産物屋や食べ物屋が立ち並ぶ。休憩がてら漬物屋に立ち寄った。この土地は柴漬けに縁があるそうだ。それとは全く関係ないが、キュウリの一本漬けを頂いた。キュウリ美味しい。

 

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参道の脇には川が流れていた。紅葉もちょくちょく表れており、エモい。しかし寒い。

 

三千院の近くまで来ると、流石に混んでいた。聞こえてくる言葉は中国語と関西弁と標準語が3:2:1くらいであった。同じ京都の観光地でも、奥の方に行くほど外人さんの割合が増える気がする。

11時半と少し早いが、ここで昼食とした。参道の芹生茶屋さんでいただく。

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・大原女セット

 そば、ごはん、とろろに柴漬けと小鉢のセットである。素晴らしい人権飯であった。素朴な味わいが冷えた体に染み渡る。小鉢の山菜や柴漬けなど、噛めばジワリと広がる美味しさがたまらない。とろろがまた絶品で、醤油と合わせてご飯に合う。出来ることなら四杯は食べたかった。

 食事処にはテーブル席を囲むように座敷が配置されており、その外側にぐるりと窓が張られていた。大原の山々がよく見え、風情のある店内であった。

 食後の休憩を済ませ、三千院へと向かう。

 

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三千院

比叡山に近いだけあって、天台宗のお寺である。比叡山周辺の地を転々とした後、この地に落ち着いたそうだ。

写真は往生極楽院である。有難そうな名前に違わず、大きな阿弥陀様が中に鎮座されている。写真右後方には、わらべ地蔵という奇妙で愛らしいお地蔵さまがいらっしゃる。余りにコロコロとしたお姿であらせられるので、初めは石ころかと思いスルーしてしまった。

 

拝観順路をしばらく進むと、聚碧園という庭園が見える。作家の井上靖が「東洋の宝石箱」と称賛したとか。

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この時期はだいぶ紅葉も落ちており、絨毯のごとく水面に広がっていた。しばし座って眺める。

 

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建物内を見て回り、仏様を拝んだ後、外に出る。背の高いもみじが並び、凛とした佇まいを見せている。

往生極楽院を過ぎ、少し登った先にいくつかお堂がある。お参りした後しばし休憩。

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弁財天像・後ろから。流石は宗教のるつぼな七福神の一柱、寺の中で神仏習合の名残を残している。仏教の寺に神道式で祀られるインドの神様である。

 

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宝物殿など見学した後に境内を出た。 

 

その後はしばし大原を散歩する。天台宗の一大拠点であったようで、大小様々な寺が並んでいた。

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道端にも紅葉が点在し、実に綺麗である。

その後は少し歩いて山道を登り、来迎院へと向かった。こちらも天台宗の寺院であり、かつては天台声明の道場として名を知られていた。そのため、声に関わる仕事にご利益があるとされ、境内には音楽関係の絵馬や祈祷札がちらほら見られる。この日は内部で重文の公開もされていたため、拝ませていただいた。

その後、寺の裏手にあるという音無の滝を見に行く。途中で道が行き止まり、側に滝が出来ていたので、はあこんなものかと会得して引き返した。しかし後から調べると、これはただの堰であり、本当の滝はもっと奥にあったそうだ。どこで道を間違えたのだろうか。いずれ再チャレンジしたい。

その後は大原をブラブラ歩く。

長くなってきたのでさらに分割。その3に続く。 

秋の京都旅行2017 1日目・その1

僕は京都が好きだ。ちょくちょく巡礼している。

しかし、京都の紅葉を見たことは無かった。

そのことがいわゆる京都人にバレてしまったらどうなるか。

伝統的な陰湿さで知られる京都人のことだ。紅葉も知らないにわか野郎を、決して許しはしないだろう。

百のぶぶ漬けを投げられ、千の嫌味をぶつけられ、泣きながら鴨川に飛び込むことになる。それは避けたい。

ならばやるべきことは一つ。

紅葉を見に行きました。

 

・一日目の概要

洛北で紅葉を見た

 

行きは夜行バスに乗った。0600着予定の所、13分早まって到着したのは幸運であった。ありがたや。

下車後最初の目的地は七条駅である。この時気温4度、体温を作るためにずんずん歩いて行く。

 

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遠回りのルートになるが、これを見ないと始まらない気がする。

 

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南北自由通路を抜けた後は塩小路通を東に向かい、鴨川を越えた。徐々に日が出てくるのは良い風景であった。思わず清少納言にならざるを得ない。

無事七条に着いた後は京阪で出町柳へ向かい、叡電へ乗り換える。ここで叡電一日券を買い、今日一日使い回すことを決意する。

 

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叡電で紅葉と言えばこの特別車両である。特別車両という割には本数が多く、時間もあって人はほぼいなかった。それでも紅葉シーズン、発車間際にはほぼ満席である。

 

 

この時間帯は地元の登山客の方が多い。紅葉情報に聞き耳を立てつつ、朝ご飯を食べる。朝飯の定番、巣鴨タカセのカジノである。ひたすら甘い。

車窓をぼーっと眺めていると、紅葉のトンネルが見えてきた。楽しみにしていたが、いざ過ぎるとあっという間なものである。綺麗ではあった。車窓に紅葉が近く、包まれているような感覚になった。

 

 

そうこうしているうちに終点の鞍馬駅である。

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紅葉と天狗がお出迎え。折れた鼻が治っていた。

 

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鞍馬寺。様々な宗教の流れを汲んでいる、一風変わった寺である。少し前から神智学の概念を取り込みはじめ、さらに胡散臭くなった。鞍馬天狗はあまりにも有名。

本来ならば入口に集金おばちゃんがいるのだが、時間が早いせいか居なかった。どちらにせよ、一日券特典で無料ではあったが。

 

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ずんずん上っていく。

 

 

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由岐神社。都の北方の抑えとしてこの地に勧請されたそうだ。奇祭・鞍馬の火祭で有名。

 

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登っているうちに天候が回復し、綺麗な紅葉が見えてきた。

 

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鞍馬寺の本殿金堂。仏様と共に鞍馬天狗のトップ、天魔(と同一の存在?)が祀られている。

普段ならば奥の院から貴船へと抜けるところだが、台風の影響で通行止め。無念。

仕方がないので紅葉を堪能したのちに降りる。帰りも人は少なかったが、地元の方とちょくちょくすれ違った。

電車を待っていると元気一杯の小学生集団が乗り込んできた。京都であっても小学生は小学生である。ちょっと妬ましい。

 

そうこうしているうちに貴船口駅に到着。時間が早すぎてバスが無いので、ここから貴船神社まで歩く。

 

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道中の紅葉はほとんど散っていた。やはり山は早いのだろうか。

紅葉の散った貴船はどこか寂しげである。夏の風物詩たる川床も、流石にこの時期には無いか...と思っていた。

 

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貴船神社に到着。水の神様を祀っている。

クラブツーリズムの方々の方々と鉢合わせたのは不運だった。

お参りした後、奥宮に向かう。

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まさかの川床。風邪引くのでは...?

 

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奥宮到着。かつて玉依姫命が乗ってきたと伝えられる磐船が鎮座ましましている。

ここまで来ると流石に人がいない。広いこともあって、不気味なほどに静かである。

 

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(後から見返すと壊滅的な撮影技術...)

紅葉が無いこともない。落ち葉と共に眺めつつ、バス乗り場へと向かう。

貴船口駅からは宝ヶ池経由で八瀬比叡山口駅に向かった。レッツ大原。

 

長くなったので、続きは別の記事で。